2006年8月4日(金)「しんぶん赤旗」

主張

イスラエル

レバノンから撤退、即時停戦を


 イスラム教シーア派民兵組織ヒズボラとの衝突を機に、レバノンに激しい攻撃を加えてきたイスラエル軍は、「四十八時間の空爆停止」があけたとたんに、一万人以上の地上部隊で大規模に侵攻するなど激しい攻撃を再開しました。

 イスラエル軍は、国境から六―八キロの地帯まで侵攻する方針だと伝えられます。

 それ以前にも、東部ベカー高原の病院をヘリ空挺(くうてい)部隊で急襲、さらに首都ベイルート南部を空爆するなど武力行使を拡大しています。

これ以上犠牲増やすな

 これまでにレバノン側で九百人が殺され(シニオラ・レバノン首相)、レバノンは全面的な破壊と人道的危機にさらされています。

 レバノンの国土と主権を破壊し、国際人道法をふみにじる軍事力行使の継続、拡大は断じて許されません。イスラエルはただちにレバノン領から軍を撤退させ、即時停戦に応じるべきです。

 国連事務総長、イスラム諸国会議機構の緊急首脳会議(三日)や多くの国々は即時停戦を求めています。

 イスラエルはレバノンに対する大規模軍事侵攻を、ヒズボラによるイスラエル兵襲撃・拉致に対する「自衛」行為だと主張しています。

 しかし、イスラエル軍がレバノン南部の国連監視所を爆撃して要員四人を殺害(七月二十五日)し、カナ村の避難所を空爆して多数が子どもの数十人の命を奪った(七月三十日)などの攻撃は、弁解しようのない過剰で非人道的な大規模武力行使です。国連憲章と国際法のもとで許されません。

 イスラエルのオルメルト首相は、レバノン南部に強力な国際部隊が展開するまでは攻撃を続ける、と開き直っています。

 イスラエルを攻撃できないようにするまでヒズボラを掃討するという表明ですが、ヒズボラのロケット砲撃はやまず、軍事力の応酬がむこの一般住民を巻き込んで、犠牲を増すだけです。このことは結局、イスラエルの安全保障も危険にさらす以外のなにものでもありません。

 重大なのは、イスラエルに決定的な影響力を持つ米国とごく一部の国々が、イスラエルを擁護し、即時停戦に抵抗していることです。

 ライス米国務長官は「緊急の停戦とともに永続する解決が必要」だという言い分で、イスラエルを弁護しています。

 国連安保理でアメリカは「停戦」とあわせて「長期の問題解決のための政治原則」、「レバノン国軍が平和を維持することを支持する国際部隊の承認」を「包括的」に決議すべきだと主張しています。

 ヒズボラの掃討をめざすイスラエルの軍事行動継続を支持しており、「テロとの戦争」を掲げてイラクで失敗した過ちを繰り返しかねない態度です。

米国の責任は重大

 安保理では、即時停戦を求めるフランスの提案と、アメリカの提案をめぐって協議が続いています。いま求められるのは、国連がしっかりした役割を果たすことです。

 米国の主張は、国際社会に受け入れられるものではありません。それを乗り越えて、安保理がイスラエルの軍事行動をやめさせる必要があります。

 各国と国連など国際社会の責任は、停戦から和平のためにあらゆる努力を集中することです。道理のない口実で即時停戦を妨げることではありません。


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