2006年7月18日(火)「しんぶん赤旗」
主張
原水爆禁止06世界大会
反核平和の力の大合流を
原水爆禁止二〇〇六年世界大会が目前に迫りました。「核兵器のない平和で公正な世界を」(大会テーマ)めざし、内外の反核平和運動のいっそうの前進の契機となることが期待されます。
ひろがる核廃絶の声
イラク戦争の泥沼化と内外の批判の高まりにもかかわらず、米ブッシュ政権は「テロ」や「核兵器拡散」の脅威などを口実に、「長期戦争」をたたかうことをうちだしました。核戦力を中心にすえ、核兵器と通常兵器を一体化した、先制攻撃の戦争をしかけるというものです。しかも、この実行のための体制づくりや、新型核兵器の開発などがすすめられています。
このような危険な動きをはばむことなしに、核兵器のない平和な世界を築くことはできません。原水爆禁止世界大会が一貫して追求してきた、核兵器廃絶を中心課題とする広範な共同の発展がますます重要です。この間のさまざまな発言は、その条件の広がりを示しています。
レーガン政権時代の米ソ核軍縮交渉責任者は、最近、今日の核兵器の脅威の増大を危惧(きぐ)し、米政権は、核兵器のない世界という“あるべき”姿の実現のため、国連に核廃絶決議を提案すべきだと発言しています。国連イラク査察の責任者だったブリクス氏などによる大量破壊兵器問題の報告も、「一部の国の核は脅威ではないが他の諸国の核保有は危険だ」という考えを批判し、「今こそ、核兵器を違法化すべきとき」と指摘しています。
核拡散の懸念を利用し、危険な核政策を押し通そうとするブッシュ政権の欺瞞(ぎまん)は、もはや世界に通用しません。核兵器廃絶こそ、拡散問題を含め核兵器問題の根本的解決の道であることは、いっそう明白になっています。しかしブッシュ政権の強硬な逆流を打ち破るには、廃絶の流れをさらに強めることが不可欠です。
この点では、被爆六十年の昨年、運動の大きな高揚にもかかわらず、ブッシュ政権にいっさいの前進を阻まれたことから、世論と運動、共同をさらに発展させようという決意、とりくみが広がっています。
日本原水協が提唱した「すみやかな核兵器の廃絶のために」署名には、政府関係者や内外の広範な団体・個人から賛同がよせられています。六月、カナダ・バンクーバーで開催された世界平和フォーラムでは、核兵器廃絶が今日の世界平和のための焦点であることが確認され、署名に大きな共感が寄せられました。また今秋の国連総会に、反核国際ネットワーク「アボリション2000」と共同で署名を提出することになりました。
いまアメリカの横暴を許さないたたかいは、経済や環境問題などさまざまに広がっています。そのなかで政府、NGOの立場の違いをこえ、広範な共同を築いてきた核廃絶運動の前進は、世界平和の大きな流れを築くものです。
日本の運動の役割
さきの日米首脳会談で小泉首相は、日本をアメリカの「長期戦争」の出撃基地とし、ともに戦争する国への道をつきすすむことに合意しました。これは被爆国であり、憲法九条を持つ日本を、アメリカの先制攻撃、核兵器使用・脅迫の戦略にくみこむことにほかなりません。
原水爆禁止世界大会の成功によって、国際的な反核運動のいっそうの前進とともに、基地再編強化や憲法改悪などとのたたかいについても交流、連帯を深め、その発展に貢献する場にしようではありませんか。