2006年6月29日(木)「しんぶん赤旗」

薬害肝炎

夢奪わないで

全国原告団が要求書提出

国控訴に抗議


 「明日を夢見ることさえ奪われました」。国が二十八日、薬害肝炎訴訟で国と製薬企業の責任を一部認めた大阪地裁判決を不服として大阪高裁に控訴したことに、薬害肝炎九州訴訟原告の福田衣里子さん(25)は改めて怒りの声をあげました。薬害肝炎全国原告団(山口美智子代表)は同日、五つの柱からなる「肝炎問題に関する全面解決要求書」をまとめ、厚労大臣、三菱ウェルファーマ(旧ミドリ十字)など製薬企業に提出しました。


 福田さんは、血液製剤「クリスマシン」を投与されC型肝炎に感染しました。「国が、いっさい責任を持たないなんて、ひどい。高校生のときまで空手部でなんでもできると信じていたのに、こんな体になってお嫁にも行けない」と涙ぐみます。

 二年間にわたってインターフェロンの治療をした山口美智子さん(50)。治療費が三百万円以上かかったものの回復せずに、「二十一年間勤めた小学校教師を辞めました。二男はお母さんが自分を産んだために病気に苦しんでいると負い目に思っています。ショックです」と家族をもまきこんだ困難に怒りを隠しません。「安心して治療に専念できるように」とのべ、控訴によって、さらに解決を長引かせる国の対応に抗議していました。

 山西美明・薬害肝炎大阪弁護団事務局長は「国が原告の声を直接聞きもせず、早々と控訴したことに激しい怒りを覚える」とのコメントを発表しました。

 この日、薬害肝炎全国原告団が提出した要求書は、(1)法的責任を認め謝罪すること(2)薬害肝炎被害者のすべての被害を回復するにふさわしい賠償を行うこと――などを要求しています。

 二十九日には、東京・霞が関の厚労省前で厚労大臣との面談実現と、控訴取り下げを求めて行動します。


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