2006年6月28日(水)「しんぶん赤旗」

「日の丸・君が代」

起立・斉唱拒否の教師には処分も

埼玉県教育長が答弁


 埼玉県の島村和男教育長は二十七日の県議会本会議で、公立学校の卒業式などでの「日の丸」掲揚・「君が代」斉唱について、「厳粛な儀式にふさわしくない(起立・斉唱しないという)行動をとった者に対し、状況によっては処分を視野に入れて対応を検討する」と答弁しました。小島信昭議員(自民党)の一般質問に答えました。

 小島議員は、自身が来賓として出席した県立高の卒業式で起立・斉唱しなかった教師がいたとし、「心無い教師の行動で、神聖で感動的な卒業式が台無しになった。公の式典で反対の意思を示すばかりか他の出席者に『歌うな』と言わんばかりの行動は、他の出席者の内心の自由を侵している」と非難。東京都などの例をあげ、「掲揚時の起立と斉唱を(強制力のある)職務命令として、違反者には厳しい対応が必要だ」とのべました。

 島村教育長は「児童・生徒に国旗・国歌への正しい理解と態度を身につけさせるためには、教員みずからが起立・斉唱することが大切だ」とのべるなかで、処分を視野に入れて対応する考えを示しました。


解説

政府答弁すら踏み外す

 島村和男・埼玉県教育長の県議会答弁は、「日の丸・君が代」を法制化した当時、「式典等において、起立する自由もあれば起立しない自由もある」とのべた政府答弁をも踏みはずしたものです。

 教育長は「日の丸」掲揚時の起立や「君が代」斉唱を、学習指導要領に基づく「職務上の責務」だとして正当化していますが、教師の中には、信仰や「日の丸・君が代」に対する考え方などの理由から、掲揚・斉唱を受け入れられない人がいます。強制すれば憲法で定められた「内心の自由」を侵すことになります。

 県教育長答弁は、憲法にも背を向けて起立を強要しようというものです。処分で脅迫して起立させ、無理やり教師に歌わせることが学校でまかり通ることになれば、教育への信頼を大きく傷つけることになります。

 東京都では、卒業式などで「日の丸」掲揚・「君が代」斉唱を義務付ける都教育委員会の「通達」と「実施指針」によって、こうした理不尽な強制がまかり通っています。職務命令に従わず起立しなかった教師の処分が多発し、保護者や児童・生徒に多大な影響を与える事態となっています。

 「内心の自由」を侵し、起立を強制する県教育長発言は、ただちに撤回すべきです。(埼玉県・林秀洋)


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