2006年6月22日(木)「しんぶん赤旗」

薬害肝炎

完全救済へ立法措置を

小池氏指摘 背景に政・官・業の癒着

70年代から危険明確


 政・官・業の癒着が生んだ「薬害肝炎」。二十一日、大阪地裁で、国と製薬会社の責任を断罪した判決が言い渡されました。

 血液製剤「フィブリノゲン」による感染被害は、被告旧ミドリ十字(現三菱ウェルファーマ)の調査によると、一九八〇年以降に同製剤を使用した約二十八万三千人(推定値)のうち、約一万五百人以上におよぶと推計されています。

 日本共産党国会議員団は、なぜ未曽有の被害を広げたのか、真相究明と、国の責任を国会で一貫して追及。被害者の完全救済のために力を尽くしてきました。

 小池晃参院議員は指摘します。「調べてみると、早い段階から危険性を当時の厚生省や旧ミドリ十字は知っていた。七三年に世界保健機関(WHO)は、何万人もの血しょうをプールしてつくる血液製剤の肝炎感染が高率なことを紹介していました。七〇年代には、C型肝炎ウイルスはまだ発見されていなかったけれども、危険性を認識できました。ところが、フィブリノゲン製剤の使用は倍倍の勢いで伸びていきました」

 米国食品医薬品局は七七年にフィブリノゲン製剤の製造承認を取り消して販売を禁止しました。しかし、日本では危険性を知りながら使い続けられました。八五年の中央薬事審議会の再評価で「止血剤として有効性が認められない」「安全性に疑問がある」と内示されたにもかかわらず、製造販売の禁止にはなりませんでした。八七年に青森県で八人の集団肝炎感染が発生。このときも製造承認取り消しにはならず、旧ミドリ十字社の自主回収にまかせたのです。

 これだけ問題がはっきりしているのに、薬害発生の悲劇を回避しなかったのはなぜなのか?

 旧ミドリ十字は、毎年、数百万円から一千万円を超える政治献金を自民党の政治資金団体にしてきました。さらに、厚生省(当時)の薬務局長だった松下廉蔵氏が七八年に副社長に就任するなど、官僚の天下りで「太いパイプ」がありました。

 「薬害エイズ事件でも問題になりましたが、歴代の薬務局長が医薬業界団体や製薬会社に天下りして、安全より業界の利益を優先している。このことを国会で追及してきましたが、この癒着の構造にメスを入れる必要がある」と小池参院議員はいいます。

 先日のB型肝炎に続いてC型肝炎でも、国の責任が明確になりました。すべての肝炎被害者の完全救済を急ぐべきです。

 「医療・就労・生活補償を行う立法措置が必要だ」と小池参院議員はいいます。「インターフェロンで完治の可能性があるものの、費用がかさみ、患者には大きな負担です。無料検査の実現、就職での差別の禁止、発症した患者を内部障害者として認定して、障害年金の支給など国の責任で救済策をつくることも求められている」


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