2006年6月17日(土)「しんぶん赤旗」
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WORLD CUP 2006「しんぶん赤旗」W杯現地取材チーム(和泉民郎、勝又秀人、中村美弥子)がお伝えします。 |
W杯 ライン通信
力みのない実況放送
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ドイツでのワールドカップ(W杯)のテレビ放映は、感心するほど落ち着いています。
十四日夜のドイツ―ポーランド戦は、国営第一放送(ARD)が中継しました。実況放送はアナウンサーが一人で担当。試合中は解説者も登場しません。
アナウンサーの実況はまるで政治・経済ニュースを読み上げるような淡々とした口ぶり。ボールがだれからだれに渡ったのかを伝え、状況の報告に徹します。シュートの場面でも、決してヒステリックに声を高ぶらせることはありません。
もちろん、ロスタイムでドイツの決勝ゴールが決まった瞬間だけは例外でした。声がやや高くなり、口調も早口に。それでも絶叫しなかったのはさすがです。
母国に極端な肩入れをしない点も特徴です。
ドイツのクローゼ選手がポーランド選手に反則をした場面では、自国の選手が審判の判定に抗議しているというのに、アナウンサーは「審判が正しいですね」とさらり。
ポーランドの猛攻が続くと、「(初戦の)エクアドル戦とは比べものにならないくらい良い攻めをしています」と冷静に評価していました。
おかげで視聴者は、テレビの前で肩の力を抜いて観戦できるのでしょう。(フランクフルト=勝又秀人)