2006年6月17日(土)「しんぶん赤旗」

主張

通常国会

閉幕後のたたかいが大切だ


 ことし一月以来五カ月間にわたった通常国会が、百五十日間の会期を二日残して事実上閉幕しました。

 会期が延長されなかったこともあり、終盤国会で焦点となった教育基本法改悪案、改憲手続き法案、「共謀罪」新設法案、さらに会期末になって提出された「防衛省」設置法案などは成立せず、審議が継続となりました。成立した「行革」推進法や医療制度改悪法の実施と具体化を許さないたたかいと合わせて、継続審議になった悪法を廃案に追い込むたたかいが、国会の閉幕した今こそ重要になっています。

成立に向けた執念

 教育基本法改悪案について、中曽根康弘元首相はさっそく「改正案は、新内閣の最初の国会か来年の通常国会には成立させないといけない。新首相の最初の仕事としてやってもらいたい」と注文をつけています(「東京」十一日付)。九月の自民党総裁選のあと国会で首相が選ばれ、新内閣が発足するため、継続法案の審議はそれ以降です。中曽根元首相の発言は、教基法改悪を「自民党結党以来の悲願」(同)と位置づける、改悪推進勢力の執念を示すものです。

 政府・与党が日本共産党など野党の反対を押し切ってあくまで教基法改悪案などの継続審議を押し通したのは、臨時国会で優先的に審議するためです。会期末ぎりぎりになって「防衛省」設置法案を提出し、継続に持ち込んだのも同じ狙いです。与党は改悪案の審議を促進しようと、閉会中の海外調査や地方公聴会の開催まで画策しています。

 教基法改悪案や改憲手続き法案の危険性は、今国会の審議でも浮き彫りになりました。教基法改悪案は、「国を愛する態度」など「徳目」を強制し国民の内心の自由を侵害するとともに、教育内容への国家の介入を許し教育の自由を根底から覆す法案です。改憲手続き法案は、文字通り憲法九条を中心とした改憲と“地続き”で、まさに改憲をしやすくするための法案です。

 教育基本法の改悪も憲法九条の改悪も、狙いは日本を「海外で戦争をする国」にすることです。教基法の改悪で「戦争をする国」のための人間づくりを進め、憲法九条の改悪で文字通り日本を「戦争をする国」にする、さらに「防衛省」設置法で権限を強化し自衛隊の海外活動を本格的にすすめる、反対する運動は「共謀罪」で取り締まれるようにする―一連の悪法が狙うのは国民にとって、危険このうえない道です。反対運動を広げ、廃案に追い込むことが不可欠です。

 日本共産党の志位和夫委員長が国会閉幕にあたって指摘したように、通常国会では日本共産党の本質を突いた論戦とあいまって、悪政に反対する国民のたたかいが、かつてなく広く深くわき上がりました。こうしたたたかいをさらに発展させれば、これらの悪法の成立を阻止する条件は大きく広げることができます。

行きづまる小泉政治

 政府・与党が会期を延長できず、一連の悪法の成立を見送ったこと自体、国民との矛盾の大きさを示しています。今度の通常国会を通じ、外交といわず、内政といわず小泉政治の破たんと行き詰まりは頂点に達しました。小泉政治の継承の仕方だけを争う「ポスト小泉」の候補では、国民との矛盾は解消できません。

 同時に、小泉政治と対決する足場を持たず、「政権交代」を掲げて改悪を競い合う「二大政党」でも、改悪案に反対する国民の期待に応えることができないのは明らかです。


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