2006年6月13日(火)「しんぶん赤旗」

主張

憲法「九条の会」

草の根の力示した全国交流会


 作家の大江健三郎氏や評論家の加藤周一氏など、日本の良心を代表する各界九人の著名人の呼びかけで始まった「九条の会」の、はじめての全国交流集会が開かれました。

 全国の地域、職場、学園、分野に広がった「九条の会」の総数は、五千百七十四。会場の東京・日本青年館は全国九百以上の会から千五百人をこす参加者で埋めつくされました。日本国憲法を守るという一点で手をつなぎ、「改憲」のくわだてを阻むあらゆる努力を、いますぐ始めよう―一昨年六月の「九条の会アピール」の発表から二年。「九条の会」が、めざましい発展をとげていることが、まざまざと証明されました。

全国の津々浦々で

 「合併した二町二村の、町村長や教育長経験者が呼びかけ人になり、選挙で一票を争った人が、肩を並べて改憲はやめさせようと訴えている」(新潟県阿賀野市の会)「全教の組合員も日教組の組合員も、組合員でない人も、昼休みにお弁当を食べながら全員で討論している」(大阪の府立高校の会)―全国交流集会の討論では、「九条の会」が保守・革新、思想信条や所属する組織の違いをこえて結ばれた、自主的で、創造性あふれる活動であることが浮き彫りにされました。

 「私たちは『著名』ではないが、その分広く深く、普通の人に届けばいいと運動してきた」という千葉・松戸市内の会。「有名でも肩書があるわけでもないが、だからこそ大勢でやろうと運動してきた」という神奈川・横須賀の会。交流会での発言のひとつひとつに、“草の根”からの思いがこめられています。

 各地の九条の会の活動は多彩です。ビラを配ったり、学習会や講演会を開いたり、バッジやリーフレットなど“九条グッズ”を作って販売したり…。一人ひとりができるところから気軽に活動を始めている、全国からの交流がつづきます。全体会議と十一の分散会を合わせ、発言者は約三百人にのぼりました。

 改憲は国会で三分の二以上の議員が賛成して発議しても、国民投票で有権者の過半数が反対すれば実現しません。「改憲に反対する有権者過半数の世論を」。参加者から決意が相次ぎました。

 そのために東京・練馬の会は「星の数ほど九条の会を」と訴え、京都・向日市の会は「校区の隅ずみまで九条守るネットワークを」と、青年の「ピースパーク」や「おじさん、おばさん」のピースウオークに取り組んでいると会場をわかせました。

 憲法を守るという一点での共同に、組織の壁も政党の壁もありません。子どもや孫が戦争に行ってもいいのかと問い、「九条改悪反対の一点での共同を」と訴えているという京都府内の会からの発言や、「保守系の人々も参加できる運動だと実感している」という栃木県内の会からの発言に大きな拍手が送られました。

「新しいあけぼの」

 交流会に参加した呼びかけ人の一人、作家の澤地久枝さんは、「市民の力、気持ちの結び合いから、新しい知恵も生まれてくる。今は新しいあけぼの」と参加者を励ましました。「九条の会」は、学習を重ね、過半数の世論の結集をめざし、全国で網の目のように会をつくり、ネットワークを強めていくことを、この全国交流集会であらためて呼びかけています。

 この運動が立場の違いをこえて広く発展するように、日本共産党はその一翼をになって、積極的役割をはたしていきます。


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