2006年6月7日(水)「しんぶん赤旗」

「市場経済の活用」と市場主義の違いは?


 〈問い〉 日本共産党は、将来の日本が社会主義社会へと前進する際に、市場経済の活用を展望していると聞きましたが、「市場経済の活用」と市場主義はどう違うのでしょうか。また、レーニンもこの方向を探求していたというのは本当でしょうか。(東京・一読者)

 〈答え〉 日本共産党は、将来の日本では、かつてのソ連や中国のように経済を統制のもとに置くのではなく、私的な生産部門を残して市場経済を活用しながら社会主義建設をすすめることを展望しています。

 それは、市場経済が、他のものでは代用しがたい重要な機能を持っているからです。具体的には、社会全体の必要に応じて生産を調整すること、企業活動の成績や労働の生産性を評価し相互に比較すること、などです。

 また、日本共産党は、選挙で示された国民多数の意思にもとづいて、一歩ずつ社会主義建設をすすめるという立場に立っています。その過程では、従来から存在していた資本主義的な経済部門と、新たにつくられる社会主義部門が並存し、互いに競争する関係となることが避けられないのも当然です。

 市場経済を活用しながら社会主義を建設するということは、企業が私的に所有している主要な生産手段を社会的所有へと移して、利潤追求を第一とする社会から社会全体の利益のために生産活動がおこなわれる社会に変えるということです。その際には、私的な生産部門に対しても、経済の秩序と国民大衆の利益の観点から、必要で合理的な規制がおこなわれます。「市場に任せておけばうまくいく」として企業活動への規制や介入を否定する市場主義とは、この点で違います。

 レーニンは、ロシア革命後の内戦が一段落した時点で、それまでの「戦時共産主義」と呼ばれた経済統制では社会主義建設がうまくいかないことに気づいて、「新経済政策(ネップ)」と呼ばれる市場を活用した社会主義建設へと転換しました。このときレーニンが掲げた方針は、(1)市場経済を舞台に、資本主義に負けない社会主義部門をつくり発展させる、(2)同時に、私的な資本主義部門の発展も容認する、(3)経済全体の要をなす部門は社会主義部門として確保する、(4)社会主義部門が資本主義部門に学び、吸収できるものはすべて吸収する、(5)農業の協同組合化は急がず、あくまでも農民自身の自発性を尊重する、というものです。これについては、たとえば不破哲三著『レーニンと資本論』第七巻などに詳しく説明されています。

 この方針はスターリンによって中断されて実を結びませんでした。しかし、このときのレーニンの理論的な探求には、今日に生かされるべきものがあります。(哲)

 〔2006・6・7(水)〕


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