2006年6月3日(土)「しんぶん赤旗」

銭湯を原油高直撃

燃料の重油価格は1.8倍

先行き不安 廃業も


 ティッシュやトイレットペーパーなど家庭用品、銭湯代も値上げ…。原油や原材料価格の高騰の影響は身近な暮らしや中小零細企業の経営にも広がり始めています。(矢守一英)


 六年ぶりの値上げとなったのは東京都内の銭湯代です。一日から、四百円から四百三十円に。都公衆浴場業生活衛生同業組合理事長の高橋元彰さんは「これ以上努力しても限界と判断しました」と胸のうちを語ります。

頭痛い負担増

 お湯を沸かす燃料のA重油の販売価格は一キロリットル当たり六万九千三百円(今年三月現在)。二〇〇四年の三万七千円に比べて一・八倍も値上がりしました。

 「原油価格の高止まりが気に掛かる」と話す高橋さん。「お金を借りることはできても返済ができるかどうか」。先行きへの不安から店をたたむケースも増えています。

 東京都内の銭湯数は五月現在で九百九十七軒。千軒を割り込み、最盛期の三分の一にまで減りました。

 港区で銭湯を営む男性(58)も月に八万円近くになる重油代の負担増に頭を痛めます。「苦しいけれど、お客さんの顔を思い浮かべると続けるしかない」と話します。

ティッシュも

 王子製紙の子会社で家庭紙大手の王子ネピアは一日、ティッシュペーパーやトイレットペーパーなどの卸値を、七月二十一日出荷分から20〜30%値上げすることを発表しました。シェア一位の大王製紙も値上げの方向。すでに日本製紙グループも五月に値上げを表明しています。

 小売価格にすべて転嫁された場合、約二百五十円で売られているティッシュ五箱パックは五十円から七十円程度上がる見通しです。

量減らす納豆

 スーパーの「目玉商品」として店頭に並ぶ納豆。大豆を煮る燃料代や製品を輸送するガソリン代、パック代等の値上がりが、製造業者の経営を圧迫しています。パック代は去年に比べ10%アップ。「しかしスーパーの『安売り競争』もあり製品への転嫁はしづらい状況」といいます(全国納豆協同組合連合会)。メーカーによってはやむなく一パック当たりの納豆の量を減らすところもあります。

 納豆の製造は八割を大手、二割を中小零細業者が担います。同会事務局長の松永進さんは「中小業者は家内工業でやっているケースが多く、廃業せざるを得ない人もでている」とこぼします。

 原油高騰で石油元売り大手が空前の利益をあげている一方、価格転嫁のしわ寄せで業者や消費者が苦しんでいます。

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