2006年6月1日(木)「しんぶん赤旗」

主張

改憲手続き法案

「地続き」法案は廃案しかない


 自民・公明、民主がそれぞれ国会に提出した改憲手続き法案(国民投票法案)が一日の衆院本会議で審議入りします。

 九条改憲で日本を「海外で戦争できる国」につくりかえる改憲派の狙いと「地続き」の法案です。断固として廃案にする以外ありません。

9条改憲に直結する

 憲法九六条は憲法改正について、(1)衆参両院で総議員の三分の二以上の賛成で発議し(2)国民投票で過半数の賛成を得ることが必要―としています。改憲手続き法案は、改憲のための国民投票のやり方や国会の発議の方法を定める法案です。

 憲法制定から六十年間、改憲手続き法案が国会で取り上げられることは一度もありませんでした。日本国民は、憲法の平和主義と民主主義を強く支持し、そんな法案が必要になったことはなかったからです。

 改憲に直結するこれほど重大な法案を、国会会期末(十八日)までわずか二週間余しかなく、十分な審議など望むべくもないこの時期に、どさくさまぎれのように提出するというやり方はあまりに異常です。自公も民主も、法案を撤回することこそ、国民にたいする責任ある態度です。

 自民党の新憲法草案が、憲法九条を変え、「自衛軍」を明記したように、改憲派の最大の狙いは、米国の先制攻撃の世界戦略に自衛隊を組み込み、世界のどこでも米軍といっしょに「戦争できる国」にすることです。それを許さぬ歯止めになっている憲法九条の制約をとりはらうことに、改憲のターゲットはしぼられています。

 改憲勢力が改憲手続き法案を提出したねらいは、九条改定を中心にした改憲を、できるだけ低いハードルで実現することにつきます。

 自公と民主それぞれの法案は、「与党案と民主党案は97%同じ」(自民・細田博之国対委員長)というのが実態です。両案の「違い」は、国民投票の対象、投票権者の年齢、白票の評価など、わずかな論点しか残していません。同じ九条改憲勢力が、国会の場に双方の案を出してすり合わせ、妥協を図るというのがそのもくろみです。

 国会のなかでは改憲勢力が多数でも、国民の圧倒的多数は九条改憲で「戦争できる国」になることなど望んでいません。改憲派の主張と世論の乖離(かいり)がこれほど大きいのに、改憲手続き法だけは先取りして通すなど、決して通用する話ではありません。

 改憲派は、九条改憲のよこしまな狙いを隠し「公平、中立なルールを定めようというものだ」(公明・斉藤鉄夫政務調査会副会長)などというごまかしを口にしています。しかし、これでは行き先を隠したバスに「早く乗り込め」と迫るようなものです。気づいたときには取り返しがつかなかったということにならないために、いま改憲「地続き」法案反対の声と運動を強めることが必要です。

反対の世論広げて

 改憲勢力が、改憲手続き法でどんなにハードルを低くしようとねらっても、最終的には国民投票で過半数の賛成を得なければ改憲は実現しません。いま必要なのは、改憲派のあれこれの術策にごまかされず、日本を「戦争できる国」にするための九条改憲に反対する世論と運動を広げ、国民多数派を結集することです。

 この国会で、改憲と「地続き」になった改憲手続き法案を廃案に追い込み、全国津々浦々で、「九条の会」や「憲法改悪反対共同センター」を広げていきましょう。


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