2006年5月31日(水)「しんぶん赤旗」

主張

米軍再編閣議決定

反対の声圧殺は許されない


 米軍再編を「着実に」進める基本方針が閣議決定されました。政府はこれにもとづいて米軍再編のための予算化や特別措置法の策定などにとりかかることになります。

 政府は米軍再編にあたって、国民の「理解を得る」「誠心誠意説明する」といってきました。関係自治体・住民の大多数が米軍再編押しつけの撤回をくりかえしせまっています。この事実を無視し、政府決定を強要するのは民主主義とも無縁な強権政治です。アメリカのためには国民の安全も生活の平穏も犠牲にしてはばからない小泉政治を許すわけにはいきません。

典型的な強権政治

 閣議決定は、「安全保障体制の確保」が「政府の最も重要な施策の一つ」であり、「政府が責任をもって取り組む」といって、関係する地方自治体や住民が国の「専管事項」に口をはさむなといわんばかりの強権姿勢をあらわにしています。米軍再編は地元に「新たな負担を伴う」といいながら「地域振興策」をぶらさげて受け入れを強要する手口の汚さも前代未聞です。

 閣議決定が、「日米安全保障協議委員会において承認された案を基本」とした沖縄の新基地建設には、七割もの沖縄県民が反対しています。小池沖縄・北方担当相も「沖縄県も名護市も合意しているとは聞いていない」と指摘しています。

 港湾施設つきの最新鋭基地建設は、周辺住民に騒音被害、墜落の危険、環境汚染をひきおこすことが明白であり、地元自治体が受け入れることができないのは当然です。

 厚木基地(神奈川県)からの空母艦載機部隊と普天間基地からの空中給油機部隊の移駐をせまられる山口県岩国基地は、世界でも最大級の基地となるだけに、騒音被害、墜落の危険、米軍犯罪の増加など新たな苦痛を強いられます。

 岩国市をはじめ周辺の広島県西部の自治体が受け入れ拒否をつらぬくのはぎりぎりの選択です。閣議決定にはその思いと向き合った形跡はまったくありません。

 キャンプ座間(神奈川)への陸軍新戦闘司令部の移駐や新田原(宮崎)、築城(福岡)、百里(茨城)などへの米軍機移転訓練にも反対がつよまっています。米軍再編を当然視した閣議決定の不当性は明白です。

 自治体・住民は、みずからの安全と生活の平穏を願うからこそ、米軍再編に反対しているのです。住民にはその権利があります。政府はこうした願いにこそ応えるべきであり、自治体・住民の意思を踏みにじって基地を押しつける権利はありません。

 閣議決定は、グアム移転費の分担についても「早期に実現する」といっています。グアムの米軍基地建設は、アメリカの先制攻撃戦争に備えた米軍のための事業です。「日本防衛」のためではありません。グアム移転費をふくめて三兆円ともいわれる米軍再編のための巨額の財政負担に日本国民の血税を一円たりとも投入するいわれはありません。

実施させない運動を

 小泉政権が米軍再編に反対する国民・住民の意思を軽く扱おうとしても、沖縄、岩国、座間、相模原(神奈川県)など反対の声は全国で炎のように燃え広がっています。

 沖縄新基地建設では、国民は辺野古沖基地計画を断念させた経験をもっています。閣議決定されても米軍再編をはねかえすことはできます。たたかいはこれからです。米軍再編に反対するとりくみをさらに広げていくことがいよいよ重要です。


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