2006年5月8日(月)「しんぶん赤旗」

テレビ3番組 小池政策委員長の発言


医療 過酷な現場の改革必要

 七日のNHK「日曜討論」では日本共産党の小池晃政策委員長が医療改悪法案について討論しました。

 この中で、改悪案が三十八万床ある療養病床を十五万床まで削減することについて、自民党の丹羽雄哉社会保障制度調査会長は「社会的入院の問題は三十年間ずっと抱えてきて、ようやく着手した。経過措置として六年間いまのまま施設に入所することができる。追い出しを受けるようなお年寄りはいない」と発言しました。

 これに対し小池氏は「三十年間ずっと議論してきたのにできなかったのが何で六年でできるのか。二十三万人のベッドがなくなって、それの受け皿はあるんだといわれても、老人保健施設に転換するのはだいたい十五万床。残りはどうなるのか」と指摘。「有料老人ホームなどになれば、金持ちしかいけなくなる。どこに行けというのか」と療養病床削減に反対しました。

 過酷な医療現場、小児科医や産科医が足りない問題も討論になりました。小池氏は「こういうところにこそ改革が必要だ」と述べ、看護師の配置は四月の診療報酬改定で新たに患者一・四人に看護師一人という「最高基準」が設けられたが、交代制のため実態は患者七人に対して一人という配置になることを指摘。アメリカのカリフォルニア州では患者五人に対して看護師一人の配置体制が最低基準であることを紹介し、「これくらい違う。医療の安全性という点でもこういうところは見直すべきだ。診療報酬で医療従事者の研修、教育、安全対策、公衆衛生すべて見なければいけないという今の仕組みは根本的に見直さなければいけない。国がしっかり土台の部分を支える仕組みをつくらないと、救急医療の問題も解決しない」と主張しました。

 また「今回の法案にいろいろ言うよりも、国民の安心のために(法案を)通していただきたい」(丹羽氏)と居直る与党側に、小池氏は「政府には医療費(全体)を抑えようという気はさらさらない。目標としているのは、公的保険の出費をどう抑えるかだ」と政府与党の逆行ぶりを批判しました。

外交 平和のアジアへ努力を

 七日放映のフジテレビ番組「報道2001」は「日米安保とアジア外交」をテーマに、日本共産党の小池晃政策委員長と自民党の石破茂元防衛庁長官の討論が行われました。

 番組の冒頭、アーミテージ前米国務副長官が、米軍再編の日米合意によって「(日本は)より強力な自衛隊を持つことになる」と評価していることを紹介。石破氏は「実際(自衛隊が)どのように動けるかに重点がおかれるようになった。より機能する自衛隊だ」と解説しました。

 これに小池氏は「問題はどう機能するかだ。(米軍再編によって)米軍自体は陸海空軍、海兵隊一体で動き、同盟国の軍隊とも一体に動くようになる」と指摘。アメリカの先制攻撃戦略に日本を組み入れることが再編計画の狙いにあると告発しました。

 石破氏は「日米が一体化した方が抑止力が高まる」と発言。小池氏は「軍事的に一体化すればそこが攻撃対象になりうる」と述べ、「石破さんの発想には、軍事的に徹底的に抑止するか、あるいは相手のいうことをなんでも聞くか両極しかない。抑止の効かない相手に対して、軍事的に対峙(たいじ)すればするほど、抑止はますます効かなくなる。軍事的対峙だけでいいのか。もっと対話戦略をもつことが問われている」と反論しました。

 ミサイル防衛についても石破氏は「抑止力を持たせるのに十分な意味をもっている」と主張。司会者からも日本が攻撃される恐れがあるのではないか、との懸念の声がでました。

 小池氏は「そういう危険な構造の中に日本をおいていいのかを根本的に考えないといけない」と指摘。その危険性を取り除くために、(1)日米同盟を見直す(2)六カ国協議で本気で平和のアジアをつくる努力を日本がしていく――の二点を提起し、「侵略戦争に対する反省をはっきり外交の土台に据えることが一番の道ではないか」と述べました。

共謀罪 警察、拡大解釈の恐れ

 日本共産党の小池晃政策委員長は七日のテレビ朝日系「サンデープロジェクト」に出演し、米軍再編や、犯罪の事前謀議を処罰対象とする共謀罪について各党代表と討論しました。

 共謀罪の新設にあたって与党側は、対象団体を「その共同の目的がこれらの罪を実行することにある団体」に限定したり、「犯罪の実行に資する行為」を付け加える修正案を出して成立させようとしています。番組でも与党側は「修正案では『共同の目的』が犯罪集団だと明確にした」(公明党の高木陽介広報局長)などと正当化しました。

 小池氏は共謀罪そのものの問題について「具体的な例でいうと、諫早干拓事業に反対する市民グループが座り込みをすると計画しただけで、組織的威力業務妨害共謀罪となる」と指摘。「『重大な犯罪を実行する団体』というのは、だれが判断するかだ。これは警察が勝手に判断できる。『資する行為』も警察が勝手に判断できる」と述べ、警察とときの権力によっていくらでも拡大解釈できる問題をあげました。

 これを受けて司会の田原総一朗氏は「戦前も横浜事件(一九四二年)という大事件があった」と指摘。小池氏は同事件について「(政治学者の)細川嘉六さんというリベラリストが書いた文書が『共産主義の宣伝だ』とされた。しかし検閲を通っているから弾圧できない。(そこで戦前の警察は)温泉旅行の記念写真を『共産主義者の会合』にデッチあげた。そして、治安維持法で逮捕され、獄死した人もいる」と述べました。

 高木氏は「戦前の治安維持法みたいに悪用されることがあっては絶対いけない。ただ、いまの刑法では取り締まりきれない現実がある」と発言しました。小池氏は「そんなことはない。政府答弁で国内法で基本的には対応できるといっている」と反論しました。民主党の枝野幸男元政調会長は「共謀罪を含む法律をつくることに民主党は反対していない。きちんと限定したうえで拡大解釈されないようにするのが大事だ」と述べました。

 米軍再編の狙いも議論になり、自民党の逢沢一郎幹事長代理は「抑止力の維持」などをあげました。小池氏は「アメリカは先制攻撃戦略をとっており、抑止力ではない。今回の再編全体の目的は、米軍が機動的に陸海軍一体となってどんなところにも出ていけるようにするとともに、自衛隊とも一体化することだ」と反論。公明党の高木氏は「極東アジア、東アジアでは日本は活動しないといけない」などと述べました。


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