2006年5月4日(木)「しんぶん赤旗」

薬物依存は病気です

家族連合会総会 公的支援を訴え


 「依存症は病気です。一人で悩まないで、仲間との出会いが回復への一歩に」――。シンナーや覚せい剤などの薬物依存症に苦しむ人や家族でつくる全国薬物依存症者家族連合会(薬家連、全国十七家族会計二百七十人)の総会とフォーラムが三日、「再生する家族たち」をテーマに二日間の日程で東京都内で始まりました。約三百人が参加。家族の代表が薬物依存症患者をかかえてる苦しみの日々を涙ながらに語りました。

 会社員の女性(35)は「私が中学生のころから、父が薬物依存症で家を留守にするようになり、高校生のとき突然、父が借りた金を返せと金融業者に押し掛けられた。身勝手な父に腹が立って、お願いだから死んでくださいと思った。いまは父との関係は少しずつうまくいっているが、苦しんでいる家族のみなさん、希望をもってほしい」と訴えました。

 いまも息子が薬物依存から立ち直れないという母親(59)は「もうだめだ。この子と死にたいと思ったことがある」と声を詰まらせます。「相談室を訪ねたとき、これは病気だから、お母さんのせいではないといわれて、救われたように思った。薬物依存症を知ってほしいと会をつくった」。

 民間薬物依存症者回復施設「ダルク」のスタッフが「病気だと思わなかった。いつでもやめられると思っていた」とみずからの体験を語りました。

 精神科医師として、薬物依存症の人の回復や援助にとりくんできた森田展彰筑波大学教授は「ただ罰を受けただけではやめられない。病気の回復と生活の回復が必要。医療や保険、福祉の援助が大事だ」と講演。薬家連の林隆雄会長は「私たちは生まれ変われる。放り出したい、いっしょに死にたいではなく、家族が力をあわせよう」と呼びかけました。

 総会では、政府が二〇〇三年にまとめた薬物乱用防止新五カ年計画で「家族への支援」を打ち出したものの、いまだ具体的な公的援助が実現していないことから、国や自治体の公的支援を訴えるアピールを採択しました。


 薬物依存症 合法、非合法を問わず、本来の目的に反して必要以上の薬物をくり返し使い、自分の意思ではやめることができない病的依存の深みにはまった状態。脱法ドラッグなどがファッション感覚で広められ、薬物乱用の低年齢化がすすんでいます。「刑務所」「借金」「自殺」など、家族にもたいへんな精神的、金銭的な苦労をもたらします。


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