2006年4月21日(金)「しんぶん赤旗」

米軍横須賀基地

イージス艦 8隻体制に

「ミサイル防衛」戦力増強


 在日米海軍は、横須賀基地(神奈川県)に、弾道ミサイルの探知・追尾が可能な高性能レーダーを持つイージス艦二隻を新たに配備する計画を明らかにしています。これにより、横須賀配備のイージス艦は八隻体制へと増強されます。同基地は、米国の先制攻撃戦略の柱である「ミサイル防衛」(MD)の前進拠点として一段と強化されることになります。


新たに2隻配備

 横須賀に新たに配備予定のイージス艦は、ミサイル駆逐艦マスティン(満載排水量九、二〇〇トン)とミサイル巡洋艦シャイロー(同九、六〇〇トン)です。マスティンは七月に、シャイローは八月に到着。一方、両艦との交代で、ミサイル・フリゲート艦バンデグリフトが八月に、ミサイル巡洋艦チャンセラーズビルが九月に横須賀を離れ、米本土に戻ることになっています。

 チャンセラーズビルはイージス艦ですが、バンデグリフトは違うため、今回の交代でイージス艦は一隻増えることになります。

新ミサイル搭載

 横須賀基地では、二〇〇四年秋に「ミサイル防衛」のためイージス艦が日本海への展開を始めてから、同艦の増強が進んできました。それまで五隻だったイージス艦は同年九月のミサイル駆逐艦フィッツジェラルドの配備で六隻になり、〇五年にさらに一隻追加され、今回の計画で八隻になります(表)。

 在日米海軍司令部は、今回の配備について「海軍の前方展開部隊に所属している古い艦船を、新しくてより能力のある水上戦闘艦へと定期的に代える長期計画の一部だ」と説明しています。七月に配備予定のマスティンは、〇三年就役の最新鋭艦です。

 シャイローは九二年の就役ですが、米軍は「ミサイル防衛」戦力として同艦の横須賀配備をとりわけ重視しています。

 在日米海軍司令部は「シャイローの配備は西太平洋地域における(弾道ミサイルの)長距離探知・追尾能力を増強する」と指摘。加えて同艦は「SM3ミサイルを使って短・中距離弾道ミサイルを迎撃する能力を持っている」とし、最新鋭の迎撃ミサイルSM3を搭載していることを明らかにしています。SM3搭載艦の横須賀配備は「初めて」(同司令部)です。

 在日米軍司令部はシャイロー配備の発表に際して、昨年十月の在日米軍再編に関する日米合意が「ミサイル防衛」の重要性を明記したことを指摘、この合意に沿った計画であることを強調しています。

 同司令部は「ミサイル防衛は弾道ミサイル攻撃に対する抑止と防御に決定的な役割を果たす」としています。しかし「ミサイル防衛」は、敵の弾道ミサイルによる報復の心配なしに先制攻撃を行うことを可能にします。

先制攻撃も可能

 横須賀配備のミサイル巡洋艦とミサイル駆逐艦は、対地攻撃用の巡航ミサイル・トマホークも搭載可能です。実際、イラク戦争で同ミサイルによる先制攻撃にも加わっています。これらの艦船とともに「空母打撃群」を構成する空母として、原子力空母ジョージ・ワシントンの配備も狙われています。

 シャイロー、マスティンの配備は、横須賀基地を先制攻撃戦略の拠点としていっそう強化する計画の一環となっています。

表

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