2006年4月19日(水)「しんぶん赤旗」

自公勢力に、「新基地は いらない」の審判を

沖縄市長選 市田書記局長の訴え(要旨)


 日本共産党の市田忠義書記局長は十七日、沖縄市で街頭演説をおこない、沖縄市長選での東門みつこさんの勝利を訴えました。告示後の「米軍再編」をめぐる新しい情勢などにふれた部分(要旨)を紹介します。


 今回の選挙は、政府による沖縄への巨大な新基地押し付けという歴史的な局面でたたかわれます。絶対に負けるわけにはいきません。「新基地は反対」「私は国にはっきりものを言います」と表明する東門みつこさんの勝利で、沖縄は「新基地ノー」だという審判を下しましょう。

基地の重圧と、事故・犯罪の危険、自然破壊が、子や孫の代まで

 今回、自公政権がおしつけた新基地案は、千八百メートルの滑走路を二本つくる巨大でおそるべきものです。しかも、大浦湾には大深度の「港」までできます。

 十二日夜、テレビ朝日(報道ステーション)は、この計画は、ベトナム戦争時からアメリカがねりあげていたものだと報道していました。普天間基地の移設に名を借りて、アメリカ海兵隊の海外への一大殴り込み拠点をつくろうとしています。

 政府は、二本の滑走路は離陸専用と、着陸専用で、これによって住宅上空は飛ばないようにできるといいます。誰がこんな話を信用するでしょうか。

 普天間基地では、ヘリも飛行機も東西南北、住宅地上空をどこでも自由に飛び回っています。「タッチ・アンド・ゴー」といって、着陸したらすぐ飛び上がる訓練も行っています。着陸した飛行機が、離陸用滑走路にわざわざ移ってから飛び上がるというのでは、「タッチ・アンド・ゴー」にならないではありませんか。

 しかも、米軍は約束など守らない。現に、嘉手納でも、普天間でも、「深夜・早朝は飛ばない」という協定があっても、わがもの顔に飛び続けています。

 今回の案では、海上案の時にはあった「撤去可能な基地」、「十五年で撤去」という約束すらない。基地の重圧と、事故・犯罪の危険、自然破壊が、子や孫の代まで押しつけられます。宜野湾市の伊波市長が、これは負担軽減ではない、「新たな基地負担だ」と批判するのは当然です。

国・自公まるがかえの候補では、県民・市民の立場でものがいえない

 名護市の島袋市長は、「沿岸案反対」という公約をかかげて当選しましたが、受け入れを表明しました。東門みつこさんは、十日の公開討論会で、「これは政権党(自民党・公明党)の応援で当選したものの宿命」とズバリ指摘しました。国・自公まるがかえの市長では、県民・市民の立場ではものがいえない、これが事実で証明されたのではないでしょうか。

 では、沖縄市の自公の候補者はどうか。最初、この人は公開討論会で、新基地の合意を「歓迎」するといいました。しかし、批判が強いので、昨日(十六日)の沖縄タイムスの紙上では、「沿岸案反対」で「稲嶺知事を支援し、支持する」と、まったく違うことを言い出しました。さらに、陣営内の集会などでは、基地問題は一言もいいません。しかし、人間、最初にいったことが本音。なんとか、新基地の問題はごまかして選挙をのりきろうとしています。自公まるがかえの候補に「新しい基地はいらない」の願いは絶対に託せません。

 琉球新報四月十四日付の世論調査では県民の七割が今回の基地合意に反対です。いま、沖縄市に必要なのは、県民・市民のこの立場でハッキリものをいう市長です。それは東門みつこさん以外にありません。東門市長が誕生すれば、新基地をはね返す「島ぐるみ」の運動がさらに大きくなり、米軍再編とたたかう全国の住民・自治体との連携が大きく広がることは間違いありません。

市民の暮らしそっちのけで大型開発に熱中

自公政権の破たん明らか

 第二に問われているのは、市民の暮らし・福祉の問題です。この問題でも、「福祉は私の政治の原点」と全力で取り組む決意を表明しているのは、東門みつこさんです。

 自公市政の八年間で沖縄市は、経済も、暮らしも、福祉も最悪になりました。沖縄市の失業率は14・2%で、全国平均の三倍、全県平均の二倍。「シャッター通り」は全県平均の一・七倍です。

 国民健康保険料は全県で三番目に高くなっています。とくに、胸が痛むのが、お年寄りが誰にもみとられず息を引き取る「孤独死」です。沖縄市では二〇〇二年に七件、昨年は一カ月間に三件もあいついで発見され、全国に衝撃を与えました。東門さんは、「胸が痛む」「市の福祉行政の後退を露呈したもの」と、絶対に繰り返さない決意をのべています。

 自公の候補者は何といっているのか。「地域コミュニティーの希薄さが問題」(十三日「タイムス」)。なんと冷たいいいぐさか。まるで隣近所の人の責任といわんばかり。政治や行政に責任がないかのように平然とのべています。これだけでも市長になる資格はないといわなければなりません。

 行政がその気になれば、いろいろなことができます。たとえば、お隣の宜野湾市、浦添市では、乳酸飲料の会社と契約して配達してもらい、「おばあちゃん元気?」「困ったことはない?」と安否確認してもらっています。そんなにお金はかかりません。年間で宜野湾市は六十八万四千円、浦添市は百五十万円。問題は、市民を思いやる心、福祉の心ではないでしょうか。

 では、自公陣営が熱中しているのは何か。たとえば東部海浜開発=泡瀬干潟の埋め立てを含む開発計画です。自公勢力の頭にあるのは、本土企業や大手ゼネコンの「もうけ」になる大型公共事業ばかりです。東部海浜開発も、実際に仕事を請け負っているのは本土企業と市外の大手企業です。二〇〇四、〇五年に請け負った市内企業は四百二十一社中わずか三社だけです。中之町の再開発も、本土大手の「鹿島」が請け負っています。これでは、沖縄市の地元には仕事も雇用も回りません。なによりも八年間やってきて、倒産も失業も最悪の水準という現実が、自公政治の破たんを証明しているではないでしょうか。

 選挙は大激戦です。相手は、国と政権与党、財界。しかし、「人間らしい暮らしがおくりたい」「基地のない平和な沖縄で暮らしたい」と願う人たちが党派を超えて総力を尽くせば勝機は必ずひらけると確信します。新基地をめぐっても、今回の案でよいといっているのは、国と県内では自公のひとにぎりの人たちだけです。これは県内でも、沖縄市でも少数派です。つまり、選挙の対決構図は、ひとにぎりの「自公勢力」対「全県民、全市民」の対決です。

 この市長選挙で自公政権、自公勢力に「新基地いらない」の審判を下し、基地のない平和で豊かな沖縄への展望を切り開こうではありませんか。


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