2006年4月2日(日)「しんぶん赤旗」
中小企業向け政府系金融
縮小でなく充実こそ
民間の代わりに業者支える
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小泉内閣は「行政改革推進」法案を「構造改革」の総仕上げとしています。国民生活金融公庫など中小企業向け政府系金融機関の統合と貸出残高の縮小を求めています。中小企業にどのような影響を及ぼすのでしょうか。(矢守一英)
法案では、「政策金融改革」として、八つある政府系金融機関のうち、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫などを二〇〇八年度に一つの機関に統合(国際協力銀行は一部を統合)、商工組合中央金庫などを民営化、貸出残高を〇八年度までに国内総生産(GDP)比で半減するとしています。新たな財政負担を行わないことも明確にしています。
中小企業金融公庫の「一般貸付」(運転資金などの融資)の廃止も盛り込んでいます。ほかの施策についても、定期的に見直し、“必要性が低下した部分は廃止する”と事業縮小の姿勢を鮮明にしており、中小業者・企業向け融資の大幅な縮小につながることは明らかです。
民間は貸し渋り
中小企業向け政府系金融機関は、民間の金融機関から資金を借りることが困難な中小企業のセーフティーネット(安全網)としての役割を果たしてきました。
民間金融機関は、最近になって貸し出しを増やす傾向を示しているものの、対象は限られており、中小企業に対しては、依然貸し渋りを強めています。
政府自身も、「業績が順調な業種は、無担保や低利な融資を受けることが可能だが、そうでないところは、借り入れがより困難になっている」(経済産業省と中小企業庁の調査)と分析。〇五年度版『中小企業白書』も、中小向け民間金融機関の減少が続く中、政府系金融機関の場合は減少幅が小さく、「中小企業向け貸し出しの下支えをしている」と指摘しています。
貸出残高で見ると、中小企業金融公庫は七兆五千億円、国民生活金融公庫は九兆五千億円にのぼります。国民生活金融公庫の融資先は百三十九万社、中小企業数全体の約三割に相当します。そのうち約九割が従業員九人以下の小企業で、一企業当たりの平均融資残高は六百四万円と小口融資が中心になっています。
「最近は新規開業や無担保・無保証人で利用できる融資の希望が増える傾向にある」(国民生活金融公庫広報室)と民間金融を「補完」する政策金融の重要性はむしろ増しています。
“駆け込み寺”役
中小企業家同友会全国協議会は昨年十一月、この問題で政府に要請しました。
「地方に工場を建てるとき、地元の地銀は対応できず、中小企業金融公庫が応じてくれて助かった」
「日本の開業率が低くなっているが、国民生活金融公庫がなかったらもっと悲惨な状況になる」
同協議会は、寄せられた中小企業者の声とともに「緊急政策提言」を示しました。
「提言」は、原点である中小企業基本法が「中小企業に対する資金の供給の円滑化を図るため、政府関係金融機関の機能の強化、信用補完事業の充実…を講ずる」(第二三条)とうたっていることを指摘。それぞれの金融機関の特性、補完的役割を生かして育成する政策方向をとるよう求めました。
「新しい事業を起こす際の新規開業資金は民間の金融機関ではなかなか貸してくれません。そのとき頼りになるのが、国民公庫や中小公庫です」と話すのは大阪府中小企業家同友会事務局次長の山浜光一さん。
「政府系金融機関は困ったときの“駆け込み寺”のような存在。機能を縮小するのではなく、さらに充実させるべきです」
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関係団体が要望・署名
中小企業関係団体は、政府への要請や署名運動を広げています。
日本商工会議所、全国中小企業団体中央会、全国商工会連合会、全国商店街振興組合連合会の中小企業四団体は昨年十一月、二階俊博経済産業相と懇談し、「政府系中小企業金融機関の機能と役割の維持・強化」を要望しました。
大阪商工団体連合会は、「公的金融は縮小・撤退でなく拡充が必要」と百六十五の業界団体から署名を集め、府議会に対し、「意見書」の採択を陳情しています。



