2006年4月1日(土)「しんぶん赤旗」

「日の丸・君が代」

強制拒否33人処分

「憲法の理念否定」 都教委に対し批判


 東京都教育委員会は三十一日、都内の公立学校の卒業式で、「君が代」斉唱時に「日の丸」に向かって起立し斉唱するとの職務命令に違反したとして、教職員三十三人に停職三カ月を含む懲戒処分を行いました。「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会や東京都高等学校教職員組合などは相次いで抗議声明を発表。「『命令』と『処分』で服従を強要する常軌を逸したもの」「憲法と教育基本法の理念を否定する」と批判しています。


 処分された教職員は都立高校二十八校、都立養護学校二校、都内の小中学校三校に及んでいます。処分の内訳は、停職三カ月一人、停職一カ月一人、減給十分の一・一カ月十人、戒告二十一人です。処分理由は、ピアノ伴奏拒否一人のほかは、「君が代斉唱時の不起立」となっています。三十二人のうち二十人が初めての不起立者です。

 このほか、式の司会を担当し、開会に先立って、二〇〇三年に出された「日の丸・君が代」を強制する通達以来の都教委による「指導」についての事実経過を紹介した教師一人が、「個人的な見解を述べた」との理由で文書による「訓告」処分にされました。

 処分は〇三年以降連続し、これまでに三百四十四人にのぼっています。

 「被処分者の会」の近藤徹事務局長は同日の記者会見で、今年の卒業式を「教職員に対する異常な『監視』『事情聴取』『弾圧』『懲罰』」と特徴づけ、「『日の丸・君が代』の強制は教育基本法改悪と表裏一体だ。改悪を許さないたたかいを強めていきたい」と発言しました。

 同会弁護団の加藤文也弁護士は「他県では複数の不起立でも戒告のみのところが多いなか、回数を重ねることで処分をさらに重くすることでも東京都の異常さがある」と批判しました。

「前例ない異常事態」

支援者ら300人抗議

 「前例のない異常事態だ」。卒業式・入学式の「日の丸・君が代」強制をめぐり、東京都教育委員会が教職員を処分したことに、教職員や保護者らから抗議の声が上がりました。

 東京・文京区の東京都教職員研修センター分館。都教委に呼び出された教職員が一人ずつ向かい、「処分発令」を受けました。同館前には、強制に反対する支援者たち約三百人が集まりました。

 「君が代」斉唱時の不起立を理由に「停職三カ月」というもっとも重い処分を受けた中学校教師(55)は、支援者を前に「教育の名を借りた子どものマインドコントロールには加担できない。どこまでもたたかいます」と語りました。

 卒業式の司会で「都教委の方針で『内心の自由がある』ことは説明できません」とのべた高校の男性教師も処分に。都教委から発令されたときの様子を、「事実と違うといっても聞き入れず、都教委は一方的に処分文書を読み上げた」といいます。

 不起立で初めての処分を受けた高校教師(57)は「立たざるを得なかった人もいるけれど、職場はみんな私たちと同じ気持ちです。憲法と教育基本法を教育に生かさなければいけない」と語りました。

 「『日の丸・君が代』不当処分撤回を求める被処分者の会」は同日、都内で抗議集会を開きました。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp