2006年3月16日(木)「しんぶん赤旗」

主張

イランの核問題

真剣に平和的、外交的解決を


 イランの核開発問題が、制裁措置の決定もできる国連安保理に付託され、協議が始まっています。この問題を、平和的、外交的に解決できるかどうか、真剣な努力が求められています。

国の主権と世界の懸念

 イランは昨年夏、アハマディネジャド新大統領のもとで、ウラン濃縮のための活動再開を決め、今年に入って、濃縮活動を再開しました。

 これに対し、協議を重ねてきた国際原子力機関(IAEA)は緊急理事会(二月四日)で、イランの核開発に「深刻な懸念」を表明し、安保理に報告することを決議しました。

 その決議は、「すべての濃縮関連活動と再処理活動の全面的、持続的な停止」を求めています。理由は、イランが濃縮活動を停止していた期間を含む「三年近い活発な検証活動を経てもなお」イランの核活動には「純粋に平和目的であるという信頼性の欠如」があるからだ、としています。

 IAEA三月定例理事会(八日)の議長総括によれば、この認定は変わらず、安保理付託が決まりました。

 イランも締約国になっている核不拡散条約(NPT)は、締約国に原子力平和利用の権利を認めています。イランが主張しているのはこの権利です。しかし、イランの核開発にはとりわけ「核の闇市場」にかかわる未申告の問題があったため、国際社会の懸念を生んでいました。

 核兵器は、高濃縮ウランや使用済み核燃料を再処理してとりだせるプルトニウムから製造できます。「核活動」が「平和目的」であることを保障するには、IAEAの「検証」をうけ、国際的な納得をえる必要があります。

NPT体制の問題

 IAEA決議がイランに求める保障措置は、NPTにもとづいています。NPTは米ロ英仏中に核兵器独占体制を認めつつ、新たな核兵器保有国の出現を阻止する「不拡散義務」(第一条)を負わせています。核保有国本位の差別的条約であることは間違いありません。

 核兵器独占体制は続き、米国があからさまな「二重基準」で相手によって対応を変えるなど、NPT体制の問題点は明らかです。

 しかし、どんな理由をもってしても、新たな核兵器保有国の出現を認めることはできません。NPT締約国は「核軍縮交渉」を誠実におこなうと約束(第六条)しています。核兵器保有国による核の使用と威嚇の脅威をとりのぞき、核兵器廃絶の国際交渉を前進させ、この「約束」を現実のものにする努力こそが、求められています。

 イランの核問題をめぐっては、対イラン制裁やイラン核施設への攻撃計画が米国等のメディアに流されるなど、緊張をあおる動きがあらわれています。

 イランは、「交渉」により「核活動が平和的であることへの不明確さを除去できることを望んでいる」(イラン最高安全保障委員会事務局長からIAEA事務局長への二月二日付書簡)と表明しています。

 IAEA事務局長が強調しているように、関係当事国は誇張した言葉の応酬を避け、「政治解決」にあらゆる努力を尽くすべきです。

緊張激化を避けよ

 安保理での討議とともに、IAEAでの査察と協議は継続し、この問題の平和的、外交的解決の努力は続けられます。

 この地域の情勢をさらに厳しい緊張にさらす行動をとらず、イランの核問題を平和的な交渉を通じて解決することが、国連と国際社会に強く求められています。


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