2006年3月5日(日)「しんぶん赤旗」

主張

イラク情勢

世論は米軍撤退を求めている


 イラク情勢が、「内戦の危機」といわれるほど悪化しています。イスラム教シーア派聖廟(せいびょう)爆破事件をきっかけに衝突がおさまりません。宗派・部族・政治勢力、地域間の対立が激しくなっています。

 イラク戦争は「地獄の扉をあける」との警告(ムーサ・アラブ連盟事務局長)が、ますます現実のものになってきました。

三つの世論調査

 こうしたなかで注目されるのは、イラク国内でも、侵攻・占領した米国でも、さらには駐留米軍のなかでも、米・占領軍の撤退を求める世論が多数になっていることです。

 米国の「世界世論」の調査(一月)によれば、イラク国民の70%(シーア派の71%、スンニ派の94%)は、新政権が米軍を撤退させることを求めています。「六カ月以内の全面撤退」と「二年間に段階的撤退」が半々で、「六カ月以内の撤退」の場合に暴力的攻撃が減ると答えたのは、64%にのぼりました。現地からは、「聖廟の破壊を許した占領軍も敵だ。出て行ってもらいたい」(シーア派のサドル派幹部)と、外国テロ組織などに策動の場をつくりだし情勢悪化を招いた米・占領軍の撤退を求める動きが伝えられています。

 米国内で、ブッシュ大統領の支持率は34%に落ち込み、不支持が59%、政府のイラク戦争対応にたいする支持は30%と最低を記録しました(二月の米CBS放送調査)。

 さらに、米ゾグビー・インターナショナル社調査(一、二月)によれば、イラク駐留米兵の72%が一年以内に撤兵すべきだと考えています。「即時撤退」が29%、「半年以内の撤退」が22%、「半年から一年以内の撤退」が21%。「必要な限りとどまるべきだ」は23%にすぎません。

 民族、宗派間の亀裂をここまで大きくし、イラク情勢を悪化させてきたのは、米国の侵略戦争と占領支配です。最近の世論動向にあらわれているのは、イラクでも米国でも、さまざまな立場の人々が、悲惨な実体験を通じて痛感してきた戦争と占領の不当性です。

 戦争開始から三年、何万人ものイラクの人々の命が奪われ、国土が破壊されました。復興も治安改善もいっこうに進まず、イラク国民の生活はきわめて厳しい状況にあります。米軍ができるだけ前線をイラク治安部隊に肩代わりさせても、米軍兵士の死者数は減っていません。

 イラク戦争の口実は、崩壊しています。イラクで大量破壊兵器はみつからず、“国際テロ組織アルカイダと旧政権とのむすびつき”は立証されませんでした。

 大義のない戦争で理不尽な犠牲を強いられたイラク国民の米・占領軍に対する奥深い怒りが蓄積されてきました。三年前には戦争支持に傾いた米国民の世論も「戦時体制」の重圧が続く中で大きく変ってきました。

 イラク政策の「敗北を認めることがかぎ」であり「異なった計画がたてられるべきだ」(ウィリアム・バックリー、『ナショナル・レビュー』)―イラク戦争をけしかけブッシュ政権を支えてきた「ネオコン」からも、こんな議論が聞かれるようになっています。

米日政府のとるべき道

 イラク現地と米国の世論が米・占領軍の撤退を強く求めるようになっている事態に、ブッシュ政権は正面からこたえなければなりません。

 日本政府も、自衛隊を一刻も早く引き揚げ、現地でこれ以上の敵意と情勢悪化を引き起こす危険を除去すべきです。


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