2006年2月18日(土)「しんぶん赤旗」
米収容所“閉鎖せよ”
国連総長が要求 キューバ・グアンタナモ
人権委報告書「国際法に違反」
【ロンドン=岡崎衆史】国連人権委員会(ジュネーブ)の特別報告者五人は十六日、キューバ・グアンタナモの米軍のテロ容疑者収容所を速やかに閉鎖するよう求める報告書を公表しました。アナン国連事務総長は、必ずしも報告書すべてを支持するわけではないとした上で、「グアンタナモ(収容所)は遅かれ早かれ閉鎖される必要があろう」「決めるのは政府だが、できるだけ早く実現するよう期待する」と述べました。
報告は、収容者が拘束の法的正当性を問う権利や公正な裁判を受ける権利が侵されているとし、国際人権規約違反だと断定。収容者の解放か公正な裁判を求めています。
また、ハンガーストライキ中の収容者に無理やり食べさせる、移送時に収容者を足かせや鎖で縛り、フードをかぶせたり暴行を働いている―と指摘。「激しい苦痛を伴い、脅しや懲罰の目的で被害者に苦痛を与え、拷問にあたる」としています。
「さまざまな状況で収容者が信教の自由の権利を侵されてきた確実なしるしがある」「いくつかの尋問方法は宗教差別に基づいている」とも述べ、収容者の多くが信じるイスラム教への日常的な冒とくが行われていることを示唆しました。
報告はまた、国際的な拷問の定義の下では許されない人権違反の尋問を可能にするため、米政府が拷問の定義を変えようとしていることが「重大な懸念となっている」と指摘しました。
その上で米政府に対し、国際人権規約の条項を満たす公正な裁判にかけるか、即刻解放することを要求。収容所は「即時閉鎖すべきだ」と強調しました。