2006年2月12日(日)「しんぶん赤旗」

平和の祭典 幕開け

トリノ冬季五輪


 【トリノ=代田幸弘】新しい世紀に入って、二度目の冬季五輪が十日(日本時間十一日未明)、イタリア北西部のトリノ市で始まりました。

 情熱と創造性を華やかに演出した開会式は、オリンピックが「平和の祭典」であることを改めて示す場となりました。

 過去最多となる八十カ国・地域からの参加、冬季五輪初の韓国と北朝鮮の南北合同行進、オノ・ヨーコさんの「いまこそ行動するとき。世界に平和を広めよう」という訴え、そして会場が一体になった「イマジン」の大合唱――。そこには、大国や小国の差別も、憎しみや排除もない五輪精神が息づいていました。

 今大会には、エチオピアとマダガスカルが初参加。入場行進でひときわ大きな歓声を浴びていました。困難な環境のなかで、冬季スポーツは、アフリカ大陸への広がりもみせています。

 同時に、いまだ戦火の絶えない国や地域の姿は見えませんでした。会場をとりかこんだ厳戒態勢も、テロの脅威を抱える国際社会の現状を表しています。

 前回のソルトレークシティー冬季五輪は、米国政権による政治利用や、招致疑惑、不正判定、薬物にゆれるなど、五つの輪がくずれかけました。失いかけた信頼をとり戻せるか。いま各地域で平和の共同体づくりがひろがるなか、近代オリンピックの原点回帰をうたったアテネ夏季大会につづくトリノ大会は、五輪運動の再生をさらに推し進める場になるはずです。

 開会式で、国際オリンピック委員会(IOC)のロゲ会長は「スポーツが国家、政治、宗教、言語の壁を乗り越えて、一つになれることを見せてほしい」と熱く呼びかけました。

 さあ、今度はアルプス山脈のふもとで、世界のアスリートたちがそれを実現する番です。


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