2006年2月4日(土)「しんぶん赤旗」

国政の焦点 日本共産党が論戦

3日の参院各委員会


 防衛施設庁談合、耐震強度偽装、ライブドア事件―。小泉「構造改革」路線の“偽装”と“粉飾”ぶりが次々と明るみにでるなか、三日の参院各委員会で日本共産党は問題の根源を追及しました。


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(写真)質問する小林みえこ議員=3日、参院国土交通委

■耐震偽装問題

■民間任せで行政軽視

■小林議員 再発防止へ徹底検証を

 民間開放で行政の建築確認は重視せず、国がその道を開いた――。小林みえこ議員は国土交通委員会で耐震強度偽装問題を取り上げ、国の規制緩和万能路線の誤りを追及しました。

 小林氏は一九九八年の建築基準法改悪による民間開放が問題だと指摘。北側一雄国土交通相は「民間だけでなく、地方公共団体も偽装を見逃している。民間開放でなく建築確認全体の問題」などとのべ、「民間へという方向自体は間違っていない」と強弁しました。

 小林氏は行政の偽装見逃しの背景に「民間任せ」による担当職員の削減があると指摘。法改悪の審議の中で、建設省住宅局長(当時)が「(民間開放して)本来行政にしかできない業務に重点を置く」と答弁しているとし、「国が行政の建築確認を重視しない道を開いていった」と指摘しました。

 民間検査機関のずさんな検査について、小林氏は、偽装を見逃した民間検査機関の社長が「きびしい指摘をすると申請者が別の機関に行くという事実はある」(十二月七日、衆院国土交通委員会)とのべていることを挙げ、「きびしいとお客が逃げる。まさにこういうことが警告されていた」と追及しました。

 山本繁太郎住宅局長は「わたしは、あの発言は、役所の窓口でやるようにぞんざいにしたら逃げてしまうから、民間はていねいにしなければいけないということだと理解した」などと答弁。建築確認を民間に「丸投げ」できるようにして制度に「大穴」をあけたことに全く無反省な態度を示しました。

 小林氏は「民間任せで安全性が損なわれたことが今回の事件の問題。検証しなければ再発防止、根本の解決にはならない」ときびしく批判しました。

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(写真)質問する緒方靖夫議員=3日、参院外交防衛委

■施設庁官製談合

■防衛庁も組織的天下り

■緒方議員 「申請書」示し追及

 とどまるところを知らない防衛施設庁の官製談合事件。額賀福志郎防衛庁長官は、防衛施設庁を「解体」し、防衛庁に統合することで、事件の幕引きを図ろうとしています。ところが、統合先の防衛庁でも、事件の根源=天下りが組織的に行われていました。

 緒方靖夫議員が、外交防衛委員会で、企業側が防衛庁に提出する天下り“申請書”の実物を示し、追及しました。

 緒方氏が示したのは、企業側が、天下りを受け入れる際に、防衛庁へ事前に提出する申請書。A4判二枚で、「採用年月日」「身分」「職務内容」「勤務地」「基本給」「諸手当」「賞与」などの記入欄があります。

 注意書きとして「採用通知のあて先は、次のようにお願いいたします」として、防衛庁の住所と該当部署、電話番号を記述。防衛庁側が作成していたことをうかがわせるものとなっています。

 緒方氏は、関係者がこの文書について「企業側で作成したものではなく、防衛庁で作成し、再就職(天下り)のあっせんの際に提出する決まりになっているものだ」と語っていることを紹介。記述されている防衛庁の住所が、現在の市ケ谷庁舎(新宿区)への移転(二〇〇〇年五月)前の場所(港区)であることをあげ、「こうした慣習は、かなり以前から行われていたことになる。防衛施設庁に根深い問題があることは明らかだが、防衛庁全体で、天下り問題についての徹底調査が必要だ」と追及しました。

 額賀長官は「談合事件を起こさないためには、防衛庁全体として、どう対応策をとるかが大事だ」と答弁しました。

 防衛施設庁が発注した全国の在日米軍基地における建設・土木などの工事の落札率(予定価格に占める落札額の割合)では、95%を超える工事が八割に達しています(二〇〇一年度から四年間)。緒方氏は、このことを指摘しながら、「在日米軍施設をめぐる建設・土木工事でも幅広く談合が繰り返されてきた疑いは濃厚だ」とのべ、調査を要求しました。

 額賀長官は「どういう問題点があるか、真剣に取り組みたい」と答弁しました。

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(写真)ライブドア問題について質問する大門実紀史議員=3日、参院財政金融委

■ライブドア事件

■株式分割に新規制も

■大門議員に金融相答弁

 大門実紀史議員は、財政金融委員会で、ライブドア事件の背景にある個人投資をよびこむための規制緩和問題をただしました。

 大門議員は、ライブドアが株価をつりあげる手段のひとつとなった百分割などの大幅な株式分割についての考えを質問しました。

 与謝野馨金融担当相は、現在、東京証券取引所の自粛要請となっている五分割までの制限について、「規制や法律として書く必要があるか少し研究しなければならない」とのべ、法令などによる新たな規制を検討していく考えを示しました。

 株式分割は、一株の単価を小さくすることで、個人投資家が買いやすくすることを目的に導入されました。

 しかし、株式分割という手段には、企業の業績を上げるなどで株主に配当を増やすという通常の方法ではなく、株式分割による株の値上がりで、企業の負担なしに株主に利益を得させようとする問題があります。

 大門議員は、「株式分割で株価をあげることが前提となってしまう」と指摘。与謝野金融相は、株式分割によって株主に利益を還元するのは「邪道」とこたえました。


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