2006年2月3日(金)「しんぶん赤旗」

主張

基地反対決議妨害

「対話」といいつつ圧力とは


 米軍再編について関係自治体との調整にあたる防衛施設庁地元調整実施本部が、各防衛施設局(札幌、仙台、東京、横浜、大阪、広島、福岡、那覇)の地元調整実施本部にたいし、地方議会の基地再編反対決議を阻止するよう電子メールで指示していたことが明らかになりました。日本共産党の井上哲士参議院議員が予算委員会で暴露・追及しました。

 政府が、地元の「理解を得る」「誠心誠意地元に説明する」という裏で、地方議会が反対決議をあげるのを妨害するのは、国民にたいする重大な裏切りであり、各地で反発の声があがっています。

■地方の安全を脅かす

 文書は、地元議会が反対の意見書をあげる動きがある場合は「可能な範囲でそのような議決をしないよう」動いてほしい、「地元の小さな動きにたいしても敏感に対応してほしい」といっています。全国百三の自治体と議会は、基地再編に反対し、相次いで意見書や決議をあげています。防衛施設庁がこの動きを妨害するのは許されないことです。

 関係自治体と議会が米軍基地再編を拒否するのは、再編による影響が重大だからです。

 沖縄では、基地の米軍機離着陸回数が少しくらい減ったからといって航空機爆音や墜落の危険がなくなるわけではありません。海兵隊の地上戦闘部隊は残るため米軍犯罪の多発に変わりはありません。名護市沿岸部の新鋭基地建設計画は、名護市民に新たな苦痛を与え、美しい海と環境を破壊します。

 米軍機の移駐や訓練移転の対象になるところはどこでも、沖縄のような米軍による苦痛を新たに受けることになります。住民が、米軍機の騒音、墜落の危険や米軍犯罪の増加につよい不安感をいだくのは当然です。

 自治体と議会が、住民の安全を守るため、基地再編にノーをいい、反対決議をあげるのは住民にたいする責務です。それを妨害するのは、いかに小泉政権が住民の安全を軽視しているかを露呈するものです。

 小泉首相は、「沖縄の負担軽減は賛成だけど、おれのところだけは持ってきてくれるなという自治体をどうやって協力を得るか難しい問題」などと答弁しました。基地再編を受け入れないのは、自治体の“わがまま”が原因かのように描こうとしているのです。政府が自治体のいやがることを強制していることを棚に上げた言い分です。

 自治体は政府の従属機関ではありません。政府の誤った政策や方針にたいし、住民を守る見地から反対し・批判するのは当然です。憲法の地方自治の原則によって保障されています。政府の言う通りにならないからといって、決議採択を妨害するのは明白な憲法違反です。

 政府は、地方分権を進めるにあたって「地方自治の本旨を基本とする対等・協力の新しい関係を築く」(一九九八年五月閣議決定「地方分権推進計画」)ことを方針化しました。小泉政権のやっていることは、この政府方針にも反することです。

■平和守る大義

 米軍再編は、日本を無法なアメリカの先制攻撃戦争の足場にするものです。日本の「平和と安全を守る」こととは無縁です。

 自治体と住民が一体となって米軍再編に反対することは、各地域の住民生活の平穏と安全を守るとともに、アジアと世界の平和を守るという重要な大義をもつものです。

 政府はアメリカいいなりでなく、自治体・住民の声を聞くべきです。


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