2006年1月20日(金)「しんぶん赤旗」

教育基本法改悪 急加速

与党、法案提出狙う

予算審議と並行し作業


 教育基本法の改悪を目指す動きが、与党内で本格化しています。二十日開会の通常国会で、予算案審議と並行して法案準備を進め、政府提出法案として上程、成立を目指すかまえです。

 自民党執行部は十九日までに、法案準備の実質的な作業チームである「与党・教育基本法改正に関する検討会」の座長に、大島理森・元文相を任命することを決め、大島氏も受諾しました。

 教育基本法の改悪は、戦争できる国づくりや大企業にとって都合のよい人づくりを狙ったものです。自民党などは、憲法とセットで改悪を推し進めようとしてきました。

 大島氏は十七日、「教育基本法が制定された当時とは、社会状況が大きく変化している。このなかで子どもたちが立派に生き抜く力を持つためには、基本法も変えなければならない」と表明。「この通常国会にぜひ法案を政府提出法案として出したい」と語りました。また、大島氏は予算委員長を兼務しますが、予算案審議と並行して教育基本法「改正」案の準備を進める考えを明らかにしました。

 自民党執行部は、「教育基本法に造詣が深く、意見を求めることは当然だ」(武部勤幹事長)として、検討会の前座長であり、郵政民営化法案に反対した処分で自民党を離党した保利耕輔・元文相を、検討会の顧問に迎えることも決定しました。保利氏は十七日、記者団に対し、「今までの知識を披露し、お役に立つことがあれば協力したい」と語っています。

 先の総選挙で与党が三分の二の議席を得て以降、教育基本法改悪への衝動は一段と強まっています。

 自民党は、昨年十一月の立党五十年記念党大会で「新綱領」を採択。「新しい憲法の制定」と並び、教育基本法の「改正」を強調しました。今月開いた定期党大会で決めた二〇〇六年の党運動方針でも、今年の重点政策に「教育基本法を改正」と掲げています。

 公明党も、昨年十一月に神崎武法代表が、「次期通常国会で決着をつけることも考えていきたい」と、小泉自公政権下での教育基本法改悪に意欲を表明。児童手当の支給対象年齢の拡大と引き換えに、通常国会への教育基本法改悪案の提出を了承するという党略的な姿勢を、あからさまにしています。

 与党は今月中にも、検討会の上部機関である「与党・教育基本法改正に関する協議会」(幹事長、政調会長、国対委員長で構成)を開く考えです。そこから具体的な法案準備作業が再開される見通しです。

 与党検討会は二〇〇三年の発足以来、約六十回に及ぶ協議を重ねてきました。焦点の一つとなっていた「国を愛する心」の記述をめぐっても、「自公間の相違点は…表現の問題になってきている」(公明・神崎代表、同前)というところまで議論は詰まっています。文科省はその協議を踏まえ、省としての「改正」案を準備。十七日には日本共産党の国会議員団に対し、省としての「改正」案がすでに複数存在していることを明らかにしています。(坂井希)


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