2006年1月20日(金)「しんぶん赤旗」

耐震偽装 参考人質疑で訴え

住宅失う危機 住民

規制緩和が間違い ホテル経営者


 「マンション住民は住宅喪失の危機にある」―。耐震強度偽装問題で、参院国土交通委員会が十九日、おこなった参考人質疑では偽装されたマンションの住民やホテルの社長らから切実な実態や要望が出されるとともに、行政の無責任体制に対する怒りが出されました。日本共産党からは小林みえこ議員が質問に立ちました。


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(写真)耐震偽装問題で参院国土交通委に参考人として出席し、意見陳述する「グランドステージ住吉」の清水克利構造偽装問題対策委員(奥)、「センターワンホテル半田」の中川三郎社長(中)、東京工業大学の仙田満名誉教授=19日午前、国会内

 ヒューザーが販売したマンション「グランドステージ住吉」(東京都江東区)の住民を代表して出席したのは清水克利氏。国が発表しているマンション建て替え「支援」策では「居住面積が20%減るうえ、(新たに)二千万円以上の自己負担だと聞いている。これでは他の道を選ばざるを得ない」と訴えました。

 清水氏によると、「住吉」の住民が抱える住宅ローンは平均で月約十五万円。同氏は、「金融機関はとりあえず元本の返済を猶予するというが、利子の支払いは要求してきている。総支払額としては負担が増加する」とのべ、「住民の実情を理解してほしい」と訴えました。

 さらに清水氏は、転居にかかる費用などのために「お金がどんどん出ていっている。老後や子どもの教育のためにお金をためることができない。事件後に収入が途絶えた人もいる」といいます。

 小林議員が「建て替えにいくらかかるのかという不安が住民にはあるのでは」と質問すると、清水氏は「本来は一銭も払いたくない。それがかなわないならば、できる限り少なくしてほしい」と訴えました。

 「センターワンホテル半田」(愛知県半田市)の中川三郎社長は、愛知県の建築主事が偽装を見逃したことについて、背景に「規制緩和」による民間任せの体制があることを指摘。建築確認を民間開放した九八年の「建築基準法『改正』が間違っていた」と批判しました。

 「最終的にはどこが責任をとるべきか」との質問に、中川氏は「行政に(責任が)あると思う」と怒りを込めて答弁。清水氏も、「長期にわたって偽装を見逃していたことが問題」「(偽装事件は)法制度の問題でもある」と話しました。


■現行検査制度を批判

■小林議員質問に東工大名誉教授

 「中立性、公立性、公益性に対して、株式会社は適当なのかということ」。耐震強度偽装問題の参院国土交通委員会の参考人質疑で十九日、東京工業大学名誉教授の仙田満氏(環境デザイン研究所会長)が、株式会社でも審査・検査ができる現行の建築確認制度を批判しました。日本共産党の小林みえこ議員の質問に答えたもの。

 小林議員は一九九八年の建築基準法改悪で「民間の検査機関に建築確認を認めた政府の責任も重大」とのべ、建築確認体制の整備について質問。仙田氏は「検査・確認は官でなければならないということではないが」とした上で、「中立性、公立性、公益性に対して、株式会社は適当なのか」「安く速くを売りものにする形で検査が行われてはいけない」と、現行制度にたいする問題提起をしました。

 また、仙田氏は、建築確認体制の弱体化について「構造計算をチェックできる人が、きちっと配置されているか。配置されていない検査機関がある」とのべました。


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