2006年1月19日(木)「しんぶん赤旗」
盗聴 米大統領を提訴
人権団体「憲法違反」と中止要求
【ワシントン=山崎伸治】ブッシュ米大統領の許可で国家安全保障局(NSA)が米国民に対して行っている違法な盗聴について、十七日、米国の二つの人権擁護団体がそれぞれ中心となり、憲法違反だとして中止を求める訴えを裁判所に起こしました。
憲法権利センター(CCR)はニューヨークでブッシュ大統領、NSA局長らを提訴し、訴えのなかで「盗聴は憲法で規定された大統領権限の範囲を超え、憲法違反である」と指摘。
CCRは「敵の戦闘員」だとされ、アブグレイブ収容所やグアンタナモ収容所に無期限に拘束されている人たちなどを弁護。そのため「センターの弁護士は米国外にいる人たちと無数の電話や電子メールをやりとりして」おり、CCR自身が「NSAの調査対象となっていることに疑問はない」(ホームページ)としています。
CCRのビル・グッドマン法規部長は提訴について、「この違法行為は国家安全保障の外観で覆い隠されているが、実際には、ブッシュ政権が司法・立法からチェックされないまま、無制限に権力を行使しようとしているものだ」と批判しています。
全米市民的自由連合(ACLU)はデトロイトで提訴。NSAによる盗聴は「米国憲法修正第一条(言論の自由)と修正第四条(不法な捜査からの自由)を侵害している」と批判しました。
ムスリムの人たちの権利擁護団体「米国イスラム関係評議会」と環境保護団体グリーン・ピースも原告に加わっています。