2006年1月18日(水)「しんぶん赤旗」
燃料値上げの背景にIMFとWTO要求
旧ソ連諸国
ウクライナなどへの供給停止にまで発展したロシア産天然ガスの値上げ問題。今度は産油国アゼルバイジャンでディーゼル燃料の価格が倍になりました。旧ソ連諸国で続くエネルギー値上げの背景には、国際通貨基金(IMF)や世界貿易機関(WTO)の要求が浮かびます。(モスクワ=田川実)
カスピ海油田の開発に沸くアゼルバイジャンの政府は六日、一リットル約二十五円だったディーゼル燃料をガソリンと同等の約五十円に値上げ。灯油価格も引き上げました。
現地からの報道やアゼルバイジャン労組連合によると、政府は、IMFと世界銀行の勧告に沿って国内の燃料価格への補助金を削減し、国際価格に近づける必要があると説明しました。
同国よりディーゼル価格の高いグルジア、ロシアへの燃料密輸を防ぐ狙いもありますが、新価格はまだ隣国より低いといいます。
経済発展省内の経済調査センターのアガケリム・ハジエフ氏は、英国のNGO「戦争と平和報道研究所」にこう語っています。
「〇三年十月の大統領選までに値上げする予定だったが、(ウクライナの)『オレンジ革命』など各国の政治状況を見て、値上げが緊張をもたらすと懸念し見送った。〇五年十一月には議会選挙があった」
選挙後いきなりの燃料値上げは、バス料金はじめ物価全体を上げ始めています。野党は「貧しい国民をさらに貧しくする」と批判します。
一方、ロシアも、早期加盟を希望するWTOから、自由貿易の促進と障壁撤廃の名の下に、欧州などへのガス輸出価格とロシア国内および旧ソ連諸国向け価格の格差を段階的になくすよう求められています。
ウクライナなどへの値上げは、新欧米路線強化へのロシアの報復との見方もありますが、グローバル化研究所を主宰するロシアのボリス・カガリツキー氏は、「遅かれ早かれ値上げしていた」とみます。
「WTOの要求はロシアのガス独占企業の利益と矛盾しない。プーチン政権は国内のガス価格も小幅だが値上げしている」と指摘します。同じくWTO加盟を希望するウクライナの政権も、「国際価格への移行」原則には賛成していたので、「ロシアと大差はない」とも。
同氏は、ガス価格の値上げで「ウクライナ国民だけでなく、同国の産業と今も結びつくロシアの産業界も犠牲をこうむる」と語りました。

