2006年1月17日(火)「しんぶん赤旗」

主張

思いやり予算

米軍いすわり支援は全廃せよ


 政府は、今年三月末に期限が切れる日米地位協定第二四条(経費)にかんする特別協定を二年延長する「改正」案を通常国会に提出します。二年延長は、米軍再編経費が定まらないなかでのとりあえずの措置です。

 国民には大増税をおしつけながら、米軍にはこのうえない思いやりを示し、血税を湯水のように投入する小泉政権の姿勢は異常です。

■日本駐留は安くつく

 思いやり予算は、円高・ドル安で「在日米軍が苦しんでいる」という理由で、一九七八年に金丸防衛庁長官(当時)がふみきったものです。日米地位協定に根拠がなく、不当な支出です。戦闘機のシェルターなど戦闘と不可分の施設から家族住宅、学校、教会などの米軍施設整備は丸ごと、日本人従業員の福利厚生費まで負担するようにしました。

 日本政府は、円高で「財政事情が困窮している」というアメリカの言い分をうのみにして、八七年には、五年の時限立法として、思いやり特別協定を締結。従業員の給与、光熱費、水道料や訓練移転費にまで負担を広げました。特別協定は、地位協定にもない負担を説明するための仕組みです。日本が、米軍人の給与以外のあらゆるものを負担し、思いやり予算を肥大化させるてことなっています。二〇〇六年度の特別協定経費は千三百九十一億円となり、思いやり予算の総額では二千三百二十六億円にのぼっています。

 しかし、いまや、日本国民全体の所得が連続的に減少するなかで、貧困層が広がっています。思いやりが必要なのは、米軍ではなく、日本国民です。「思いやり予算をやめて国民生活にまわせ」の声は、切実です。

 思いやり予算と日米地位協定上根拠がある土地借上代などの義務的経費をあわせた「接受国支援」(在日米駐留関係経費)は、アメリカの同盟国のなかでも突出しています。

 米国防総省の「共同防衛への同盟国の貢献度報告」(〇四年版)によれば、〇二年度に日本が負担した四十四億ドル強は、二十七カ国の負担総額の52%強を占めます。二位のドイツ(米軍七万二千人が駐留。在日米軍は四万二千人)は18%です。

 この異常な高負担をいいことに、米政府は「日本に駐留させる方が費用はかからない」といってきました。ブッシュ大統領も、米軍再編によって「納税者は金の節約になる」(〇四年八月十六日)とのべています。

 小泉政権は、アメリカに、思いやり予算をふくむ「接受国支援」の継続、海兵隊の一部を沖縄からグアムに移転する費用の負担や沖縄の新基地建設などを約束しました。それは、米軍を引き止めるものです。アメリカいいなりに、血税を投入すればするほど、米軍は日本にいすわり続けるのです。その結果、国民は、航空機事故や米軍犯罪で危険と隣り合わせの生活を強いられるのですから、文字通り踏んだりけったりです。

 米軍基地なくせの国民の願いを踏みにじる思いやり予算はすべてやめるべきです。

■憲法九条にそう役割を

 小泉政権は、「中間報告」で、アメリカの先制攻撃戦争態勢づくりに日本が全面協力することを鮮明にしました。しかし、米軍再編経費の負担は、日本の平和と安全どころか、日本をアジアと世界の平和を脅かす震源地に変えることを後押しするものです。平和と進歩への異常な逆流を許すわけにはいきません。

 憲法九条にそって、アジア諸国とともに平和の大道を進むべきです。


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