2006年1月13日(金)「しんぶん赤旗」

主張

新基地案と名護市長選

平和の流れを強めるたたかい


 沖縄県名護市長選挙が、十五日告示されます(二十二日投開票)。

 最大の争点は、日米両政府が、普天間基地(宜野湾市)に代わるものとして名護市沿岸部に新基地を建設すると決めたことについて、「ノー」の審判を下すかどうかです。

 日本共産党、社会大衆党、社民党、民主党が推薦する我喜屋(がきや)むねひろ候補は、「新基地建設に反対。米軍再編による北部への基地集中化に反対」(政策協定)と、新基地建設にきっぱり反対しています。

■先制攻撃の足場

 新基地は、キャンプ・シュワブ兵舎地区を軸に、大浦湾(東側)と辺野古沖の浅瀬側(南側)に突き出すL字型でつくられる最新鋭の航空作戦拠点となります。広さは約百ヘクタール、東京ドーム二十一個分です。大型輸送ヘリだけでなく戦闘機などの固定翼機も離着陸できる千八百メートルの滑走路と、格納庫、整備施設、燃料補給用桟橋などあらゆる機能を備えます。

 米軍は、海兵隊を迅速に紛争地に出動させるため、日常から、航空、陸上部隊、後方支援部隊、司令部組織の相互連携を重視しています。新基地建設はそのためのものです。近辺には、地上戦闘部隊が駐留(キャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセンなど)し、演習場も集中しています。燃料補給用の桟橋は、将来、地上戦闘部隊千人以上と装備などを一度に輸送できる高速輸送艦や、第三一海兵遠征部隊を運ぶ強襲揚陸艦などが接岸し、先制攻撃のための迅速な出動の拠点にもなりえます。

 新基地は、沖縄、ハワイ、グアム一体で進める米政府の先制攻撃態勢を飛躍的に強化する計画の中核です。沖縄戦の体験から、沖縄県民が大事にする「命(ぬち)どぅ宝」(命こそ宝)の精神に明確に反します。

 新基地は、沖縄海兵隊の再編・強化の中核として使用頻度も高くなり、名護市民の生命・安全、環境に重大な影響を与えるのは必至です。

 飛行ルートの西側にある辺野古、豊原、久志などの集落は、航空機騒音や墜落の危険にさらされます。東側にある集落も苦痛を強いられるおそれがあります。沿岸の浅瀬には天然記念物ジュゴンの餌となる藻場が広がっていますが、これも奪いかねません。どこからみても道理のない計画です。

 沿岸部案は過去にも検討対象になりましたが、住民への影響が重大だとして沖縄県が拒否した経過があります。それをいっさい無視して、名護市民、沖縄県民に沿岸部での建設計画を押しつけるなど絶対に許すことはできません。

 沖縄県民の痛みを軽減するどころか、激増させる新基地建設計画に反対するのは当然のことです。

 自民、公明両党が推薦する島袋吉和氏は、沿岸部案に反対といいつつも、住民の粘り強い反対運動でとん挫した辺野古沖建設案を修正したものなら「受け入れ可能」といっています。名護市の辺野古に最新鋭基地を建設すること自体には賛成しているのです。こうした候補者には、市民、県民の新基地反対の願いを託すことはできません。

■我喜屋候補の勝利を

 新基地建設計画は、日本の平和と安全どころか、日本をアメリカの地球的規模の“殴りこみ”戦争のための強力な足場にするものです。これに反対するのは、名護市民の安全を守り、アジアと世界の平和を守る重要な大義をもっています。

 新基地建設にきっぱり反対する我喜屋候補の勝利は、基地のない平和な沖縄づくりの推進力になります。


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