2006年1月3日(火)「しんぶん赤旗」

主張

変化する世界

「強欲な資本主義」こそ逆流


 ひととカネ、モノと情報が国境をこえて行きかう時代。日本の進路を考えるうえでも、世界の変化の流れをみることが大事になっています。

 二〇〇〇年に、マレーシア戦略国際研のソピー理事長が、「搾取と手におえない資本主義のいきすぎのために社会主義が興隆した」と二十世紀をふりかえりつつ、「強欲で思いやりのない非人間的な資本主義がのさばってくるなら、もっと社会主義的で思いやりのある人間的な歴史的サイクルへの転換が到来するだろう」(本紙同年一月三日付)と今世紀を展望していました。この見方を裏付ける動きが広がりつつあります。

■対立から共存へ

 世界人口六十億人余のなかで、日本が位置するアジアの変化はめざましいものです。東南アジア諸国連合(ASEAN)十カ国は、あわせて五億の国民が力をつけながら、「思いやりある」共同体になることをめざしています。この地域の多くの国が帝国主義列強の植民地支配を体験し、ベトナムは、第二次大戦後も長く仏米の侵略とたたかわなければなりませんでした。各国が苦闘の末かちとった政治的独立が、ASEANのこれだけの前進を支えています。

 二〇〇五年末には、東アジア首脳会議がはじめて開催されました。ASEANと日中韓、さらにインドなども加わり、世界人口の半数を擁して、国連憲章と東南アジア友好協力条約(TAC)を結び目に、アジアの協力と共同体を展望しています。大国や強国だけが利益をえるようなやり方では築けない関係です。

 こうした動きを警戒、妨害してきた米政権も昨年末には、TACを尊重すると表明しています。戦争から平和へ、対立から共存へと大きく変化してきたアジアの動きは、押しとどめられないということでしょう。

 変化しているのはアジアだけでありません。中南米では、革新的な左翼政権の誕生が相次いでいます。昨年末には、対米自立、資源主権を進めるボリビア新政権の誕生が確実になりました。自主的に国民本位の経済運営に努力する革新政権は、五億以上の人が住む中南米でその八割以上を占める国々に広がっています。

 中南米諸国は、国の独立は他地域より早かったものの、長く米国の「裏庭」といわれる支配と干渉を受けてきました。この二十年余でも、経済大国に都合のよい「改革」をおしつけられ、経済と国民生活がどん底になる経験をしています。それを克服して政治的にも経済的にも自立し、連帯を強めて南米諸国共同体をつくろうとする動きを加速させています。

 利潤第一で市場万能の「強欲な資本主義」の流れが、世界で大きな力をもっていることは確かです。しかし、それが世界の平和と進歩の流れと衝突するものであることも、目にみえるようになっています。国際的な協力を強めてこの逆流を食い止めることが、各国の貧困問題や地球環境問題などを解決するうえでも、重要な意義をもちます。

 強欲さ、覇権主義ゆえのイラク侵略戦争に反対し、「新自由主義」に抵抗する運動は、日本と同じ発達した資本主義国でも根強く存在します。

■憲法生かして真の改革

 私たち日本国民に必要なのは、「弱肉強食」でなくルールと民主主義のある経済・社会であり、アメリカいいなりでなく世界の平和と進歩の流れに加わる自主的な外交への転換です。憲法の平和、民主原則を生かすことを土台にすえた真の改革の流れを大きくしてゆきましょう。


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