2006年1月1日(日)「しんぶん赤旗」

主張

新年にあたって

連帯の輪を広げ、語ろう希望


 二〇〇六年の年明け、気持ちを新たにスタートしたいと思います。

 正月でも働いている人たちが、たくさんいます。本紙も、雪や寒さのなかを輸送、配達する人たちの努力によって、読者の皆さんまで届けられます。日々の働きが人と人とを結び、社会を支え、前に進めていることを、あらためて実感します。

 権力と金力を持つ勢力は、昔ながらの「分断し、統治せよ」の手法を駆使します。しかし、それは、人間社会の本来的なあり方に逆らうものです。権力者の影響は大きくとも、社会を根本で動かしているのは、国民一人ひとりの力です。

■困ったときこそ

 日本共産党が昨年末に開いた「マンション耐震偽装問題 緊急学習会」で、川崎市の党市議が、あるマンションの人たちから、要望の一つとして、次のように言われたと報告していました。“なんとか再びこの場所で暮らしたい。子どもの学校のことがあったりもするが、何よりも、被害対策の取り組みを通じて住民同士のきずなが生まれた。心かよう人間関係をつくることができた。その人たちと一緒に住み続けたい”

 大変な被害をうけたなかで、人間のきずな、心かよう人間関係こそ、希望の源になることがわかります。同じマンションに住んでも、各家庭の事情は違います。違いを認めあいつつ力を合わせていくことが、信頼につながっているのでしょう。

 考えてみると、これは、小泉自公政治にもっとも欠けていることです。一人ひとりの国民を、かけがえのない人間として尊重する姿勢がありません。市場原理を万能視し、人間を「競争」でふりわけます。大多数の「中・下層」はあきらめさせ、「上層」の欲望にそったルールを作っています。それに批判が向かないよう、身近に見える「違い」を使って、国民同士の反目をあおっています。

 大企業・大金持ちの欲望を野放しにすることは、社会を支えるモラルと安全を壊します。昨年のJRの脱線・転覆事故や耐震偽装事件に、そのことがはっきり表れています。

 人間を痛め、社会を引き裂く政治は、人間の良識と共同の力によって、必ず、打ち破ることができます。

 しかも、日本国民は、国民主権・恒久平和・基本的人権・議会制民主主義・地方自治を原則とする日本国憲法をもっています。法治国家を標ぼうし、立憲主義をうたう限り、自公政権といえども、憲法を完全に無視することはできません。国民が憲法を生かせば、政府を規制することができます。政府そのものを変えることもできます。

 だからこそ、自民党などは改憲に躍起となり、民主党や公明党も同調していますが、大義がありません。九条の平和主義は日本国民も世界の人々も感動させますが、海外での武力行使に公然と道を開く改憲は恐怖を与えます。基本的人権を現在の支配秩序に閉じ込める発想は、自由と民主主義に反します。

 国会の多数に依拠した力を軽視はできませんが、権力を背景に押し付けようとしても、道理のないたくらみは、国民を納得させられません。

■大きな未来がある

 人間には大きな未来があります。よりよい社会をめざす人間の願いは、「今」で止まることはありません。多くの国民が、憲法を守ろうと立ち上がっているのも、未来に通じる道がそこにあるからです。

 人間らしい生き方をするために、人間同士の連帯の輪を広げましょう。ともに希望を語りましょう。


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