2005年12月30日(金)「しんぶん赤旗」

国民盗聴の違法性追及

米国人テロ被告弁護人が計画


 【ワシントン=鎌塚由美】ブッシュ米大統領が国家安全保障局(NSA)に令状なしの国民盗聴を認めていた問題で、テロリストとして起訴された米国人被告の弁護人が、全米各地で証拠の正当性を争う訴訟を計画していると米メディアが伝えました。

 令状なしの国民盗聴問題については、すでに各界から批判の声が上がっていますが、ブッシュ大統領や米司法省は、合法性を主張しています。

 ニューヨーク・タイムズ紙によると、弁護人は被告のほとんどが米国人であることから、NSAの国内盗聴に異議を申し立てる訴訟事件摘要書を各裁判所へ提出する予定です。

 NSAが違法な盗聴を行っていたことになると、被告が無罪となる可能性が高まります。

 同紙が政府当局者の話として伝えたところによると、NSAの国民盗聴自体が機密プログラムであったことから、「検察官が受け取った(証拠に関する)情報は、実際の情報源が念入りに隠ぺいされていた可能性が高い」といいます。弁護人は、捜査の証拠の正当性を問うことになります。

 フロリダ、オハイオ、オレゴン、バージニアの各州で異議申し立てが計画されています。

 NSAの国民盗聴の合法性をめぐっては、盗聴の許可を与える「対外情報監視裁判所」の裁判官が抗議の辞任をしたと伝えられています。米議会上院・司法委員会は、年明けにも公聴会を予定しています。


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