2005年12月24日(土)「しんぶん赤旗」

国民投票法案 どこが問題?


 〈問い〉 改憲論議のなかで国民投票法案が取りざたされていますが、どういう問題がありますか?(東京・一読者)

 〈答え〉 日本国憲法は、第96条で改正の規定を設けています。憲法改正国民投票法は、その手続きを定める法律ですが、9条改憲を許さない国民の世論と運動も反映して、現在は、まだ、つくられてはいません。にわかに国民投票法案が取りざたされているのは、9条を中心とする改憲のための条件を整えることにねらいがあります。

 この法案をめぐっては、個々の政党、国会議員連盟レベルでの試案が出されていますが、改憲をめざす自民、公明、民主が合意した法案は、まだ、できてはいません。

 国民投票法の制定を急ぐ自民、公明、民主は、先の特別国会で、この法案の審議ができる憲法調査特別委員会の設置を強行しました。ここで、最も議論が集中したのは、国民投票運動やメディアに対する規制の問題でした。

 自民党からは、「国民投票運動は基本的に自由」としながらも、公職選挙法程度の規制は必要として、公務員や教育者がその地位を利用して行った国民投票運動、マスコミによる虚偽報道などは規制すべきとの意見が相次いで出されました。これらは、国民投票運動を委縮させるものとして国民から大きな批判がおこっています。しかも、東京・立川市や葛飾区でのビラ配布事件にみられるように、今日の日本の人権状況は、国民の自由な言論、表現活動が保障されているとはいえず、「国民投票運動は自由」といっても、権力による不当な抑圧がいつおこるかわかりません。

 日本共産党は、国民投票法は、9条改憲の条件づくりとして、その制定に反対しています。

 自民、公明は、こうした国民の批判を受け、また、民主との合意形成のため、メディア規制を緩和する方向での検討を余儀なくされていますが、国民の運動を制限し、過半数の賛成を得やすい法案にしようとの考えに変りはありません。自民、公明、民主との水面下での協議の動きもあり、国民のいっそうの監視と批判が必要です。(浩)

 〔2005・12・24(土)〕


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