2005年12月23日(金)「しんぶん赤旗」

主張

初の人口減

子育て環境の遅れ正す政治を


 今年一年間の出生数が死亡数より一万人少なく、人口が減ることが、厚生労働省の人口動態統計の推計でわかりました。人口の自然減少は、統計をとり始めて以降初めてです。

 人口減少は、少子化傾向に歯止めがかからないことから起こっています。政府は、十年にわたり少子化対策を講じてきたといいますが、合計特殊出生率は一九九四年の一・五〇から二〇〇四年の一・二九へと急速に低下しています。

 これは、子育て支援に逆行することを、自民党、公明党の連立政権がやっているからです。

■子育て支援に逆行

 政府は、少子化の背景として、若者の不安定な雇用を問題にしながら、実際にやってきたことは、派遣業務を製造業などにも認める労働法制の規制緩和です。二十四歳以下の約半数が、派遣や臨時などの非正規で働かざるをえなくなっています。

 経済的支援として「保育料または幼稚園費の軽減」を望む人がもっとも多いのに、自公政権は、公立保育所への国の責任を後退させ、保育料の値上げなど保育サービスの切り下げをもたらしてきました。

 子育てにお金がかかると分析する一方で、国立大学の学費値上げなどの負担増や定率減税の縮小・廃止などの増税を推進しています。

 少子化対策が「不十分」(少子化社会白書)というにとどまらず、雇用や福祉、教育を悪くして、子育てへの障害をつくりだす政治をおこなっているから、出生率低下に歯止めがかからないのです。

 安倍官房長官は、「この政策をやれば確実に少子化に歯止めがかかるという政策はなかなかない」とのべていますが、とりくむ姿勢が問われます。

 十六日に公表した二〇〇五年版の少子化社会白書は、海外の少子化対策をくわしく紹介しています。仕事と家庭の両立支援策、働き方の見直し、保育サービスの拡充、経済的支援など、総合的でありながら、個々の対策をきちんととって、出生率を回復しています。学ぶべきは学び、対策を強化すべきです。

 少子化が急速に進んでいるという深刻な実態が改めて示されたにもかかわらず、政策の方向性がみつからないかのように、手をこまぬく対応では、日本の将来にたいする責任の放棄です。

 まして、「少子化問題という大きな枠組みの中で消費税問題もとらえてほしい」(川崎厚労相)といって、少子化問題を庶民増税や高齢者の社会保障切り下げの脅しに使うことは許されません。

■少子化克服を正面から

 安心して子どもを産み、育てることのできる社会をつくることは日本国民の未来にかかわる大問題です。日本共産党は、一九九〇年代から少子化克服のための政策を打ち出してきました。長時間労働をなくし家庭生活との両立ができる人間らしい労働をとりもどすこと、男女差別・格差をなくし女性が働き続けられる社会をきずくこと、保育所や学童保育など子育ての条件改善にとりくむこと、若者に安定した仕事を確保することなどです。

 来年早々に開く第二十四回大会決議案は、子育て環境の抜本的改善をはかる運動を大いに発展させるために力をつくすとのべています。

 二〇〇四年一月に決定した綱領は、日本の民主的改革の一つに、「日本社会として、少子化傾向の克服に力をそそぐ」と明記しました。政党として綱領的裏づけをもった息長いとりくみです。


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