2005年12月22日(木)「しんぶん赤旗」

進化論否定の理論

学校での教育禁止

米連邦地裁判決 「科学でない」


 【ワシントン=山崎伸治】ダーウィンの進化論を否定し、生物の多様性は「知的な存在による設計」の結果だと主張する「インテリジェント・デザイン」(ID)を学校教育で教えることが問われた裁判で、ペンシルベニア州の連邦地裁は二十日、IDを科学ではないとし、学校で教えることを禁ずる判決を行いました。

 これは同州ドーバーの教育委員会が二〇〇四年十月、全米で初めてIDを学校で教えるよう決定したことに対し、反対する親十一人が教育委員会を訴えていたものです。

 IDをめぐっては、旧約聖書の「創世記」の焼き直しに過ぎないとする反対派と進化論と同様に「科学」だと主張する推進派の議論が衝突。ブッシュ米大統領は「いずれも(学校で)教えるべきだ」とIDを容認する姿勢を示していました。

 この日の判決で連邦地裁はIDについて、「超自然的な原因を容認することで数世紀来の科学の基本原則を踏みにじっている」とし、「科学ではない」と断定しました。

 学校教育への導入について「教育委員会の真の目的は公立学校で宗教を広めることにあった」として、「政教分離」の憲法の原則に反すると指摘。ドーバーでのIDの教育をやめるよう教育委員会に命じました。

 この判決について、裁判を支援してきた米市民的自由連盟は「教育を利用して特定の宗教の信仰を広めるのは憲法違反だと考える人々の勝利だ」とコメント。ID推進派の「ディスカバリー研究所」は判決を非難する声明を発表しています。

 なお被告のドーバー教育委員会は、十一月の改選でID推進派委員が全員落選したため、この日の判決には控訴せず、判決が確定します。


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