2005年12月22日(木)「しんぶん赤旗」
日本共産党綱領は「豊かな宝」
ドイツ月刊誌が紹介
不破哲三議長が日中両党会談の報告会(二十日)で紹介したように、発達した資本主義国での「社会主義の真剣な道の探求」にとって、日本共産党の綱領的探求ほど「豊かな宝はほとんどない」と紹介する論文がドイツの月刊誌に掲載されました。
掲載したのは、「社会主義的選択の討論誌」と銘打つドイツの月刊理論誌『ウートピー・クレアティーフ(創造的理想)』十二月号です。論文の筆者は、日本共産党の活動を実地に研究するために一九九八年四月に来日したこともあるマンフレート・ゾーン氏。左翼党の理論幹部でジャーナリストとしても活躍しています。
論文はまず、ドイツでの綱領的探求にとって、「綱領改定の仕事を最近し終えた一つの党に目を向けることは役に立つだろう。この党の考え方は、多くのPDS党員や他のドイツの左翼の人々の考え方に、しばしば思われている以上に近い」と指摘しています。
■独での探求の頼りに
また、「ドイツにおける今後の綱領討議において、発達した資本主義諸国においてもっとも成果の高いこのマルクス主義政党の認識を頼りにしない法はない」と表明し、日本共産党には「科学的社会主義の確固とした基礎」があることに言及しています。
論文は、綱領の「短さ」に注目し、ドイツの党が「自分たちがなんであり、何をしようとしているのか示すのに五十ページが必要だったのに、日本共産党の場合はその三分の一の分量で間に合っている」と指摘。コメントを交えながら綱領の抜粋を紹介し、これらは「まもなく始まるだろうドイツの新しい左翼政党における論争でおそらく中心的内容になると思われる分野」だとしています。
とくに第三章「世界情勢」については、「ドイツの論議にとってとりわけ役に立つかもしれない」として全文をコメントなしで引用。また第五章「社会主義・共産主義の社会をめざして」も、「ドイツでの議論を豊かにするもの」として詳しく紹介しています。
■息の長い歴史の見方
論文は、「日本共産党がもっている息の長い歴史の見方」にも注目。綱領の新規書き直しを繰り返してきたドイツの左翼と対比させながら、「八十年以上もずっと生きてきた歴史を振り返れば、『社会主義』という目標の達成を一年単位や十年単位ではなく、世紀という単位で考えたりのべたりできるようになるわけだ」と指摘しています。
また、綱領討議が科学的社会主義の古典にしっかり依拠していることについてとりわけ目を注いでいます。
「党大会の討論文書を読んだ人は、綱領討議の中でマルクス、エンゲルス、レーニンの研究がいかに断固としておこなわれているかを知って、驚くに違いない。三百ページ以上にわたる文書で、この二人のドイツ人と一人のロシア人の名前ほど頻繁に出てくる人名はほかにない」
■物まねではない探求
論文は最後を次のように結んでいます。
「高度に発達した資本主義国における社会主義の道の真剣な、決して物まねではない探求のためには、ひきつづき古典を指針とする人々にとって、北緯三〇度から四六度の極東に位置するこの宝ほど豊かな宝はほとんどない。必要なのは目を向けることである」
▼ドイツの左翼党 左翼党は、旧東独部に基盤をもつ民主的社会主義党(PDS)が七月に党名を改称した党です。今年九月の総選挙で、旧西独部の新党「労働と社会的公正のための選挙代案」(WASG)と統一した候補者名簿をつくってたたかい、二議席から一挙に五十四議席に躍進しました。WASGはシュレーダー政権の福祉切り捨てを批判して離党した元社会民主党員や労働運動家らが結成した組織。PDSの党名変更は選挙協力を決めた際の両党の合意に基づくものです。ドイツでは、左翼党とWASGとの合併を軸とする新しい左翼政党の樹立を視野に入れて、あらたな綱領的探求の議論がおこなわれようとしています。