2005年12月21日(水)「しんぶん赤旗」
記者会見で批判集中
米大統領が盗聴正当化
【ワシントン=鎌塚由美】ブッシュ米大統領が十九日にホワイトハウスで行った記者会見では、大統領が国家安全保障局(NSA)に超法規的に国民への盗聴を認めていた問題に質問が集中しました。
■民主党上院議員「容認できない」
ブッシュ氏は、9・11対米同時テロ後に議会から与えられた「権限」によって超法規的な盗聴を許可したとし、「憲法と議会の権限付与による法的権限がある」と釈明しました。
同日、記者会見したレビン上院議員(民主党)は、「憲法には米国民のプライバシーを保護する権利規定がある。裁判所からの令状なしで市民を盗聴していいという権限をどこに見いだしたのか」と批判しました。
ファインゴールド上院議員(民主党)は、「自分が唯一の政策決定者だと考える大統領は容認できない」と述べました。
■「市民的自由を侵害」と米紙
【ワシントン=山崎伸治】ブッシュ米大統領が行ったイラク戦争に関する十七日のラジオ演説と十八日のテレビ演説について、米主要紙は厳しい見方をしています。
ロサンゼルス・タイムズは、米大統領が「『われわれはイラクの戦争に勝利しつつある』という言明を裏付ける証拠をほんのわずかしか示さなかった」と指摘。ブッシュ氏が引用したものと同じ調査で「46%のイラク人しか戦争前よりも豊かになったと言っておらず、三分の二が米軍の駐留継続に反対している」ことを紹介しています。
シカゴ・トリビューンは社説で、ブッシュ大統領が国家安全保障局(NSA)に国内での盗聴を認めていた問題で、政府が盗聴を承認する法律を議会に求めなかったのは「議会の不同意が明白だったからだ」と指摘。「(法の)執行が行き過ぎれば市民的自由を侵害する」と戒めています。
ボストン・グローブは、ブッシュ氏がラジオ演説で、「盗聴は最高司令官としての権限で認められている」と主張したことについて、「おそらく誤りだ。権限についてあまりに極端な主張をしている」という憲法学者の批判を紹介。
二〇〇四年に“テロ組織とつながっているとの疑いのある米国民は裁判なしに投獄できる”との政府の主張を最高裁が退けた例をあげ、「戦時であっても、こと国民の権利については、大統領に無制限の権限は与えられない」と判決の一文を引用し、批判しています。