2005年12月20日(火)「しんぶん赤旗」

主張

東アジアと日本

平和と協力への努力妨げるな


 「長年紛争がたえなかったアジアで、平和の共同体をめざす巨大な動きがおこっていることは、胸おどる情勢の変化である」―日本共産党が来年早々に開く二十四回大会の決議案は、こう指摘しています。

 先週、東南アジア諸国連合(ASEAN、十カ国)プラス3(日中韓)の首脳会議と、初の東アジア首脳会議が相次いで開催されました。東アジア共同体の構築にむけて努力していくことが合意されています。

 アジアの平和と協力、繁栄をめざし、各国の前向きなとりくみが求められます。

■歴史的体験ふまえ

 一九九七年以来毎年開催されてきたASEANプラス3首脳会議は、東アジア共同体の構築にむけ、同会議が「ひきつづき主要な手段である」ことを確認しています。ASEANプラス3にインド、オーストラリア、ニュージーランドも加わった十六カ国による東アジア首脳会議は、「この地域の共同体構築を促進する」「対話のためのフォーラム」として、毎年開催を決めました。

 十六カ国の人口は、世界の半分を占めます。そして、急速な経済発展や相互依存関係の深まり、平和と共存への流れが力強さを増している地域として、注目されています。

 アジア各国は、民族、宗教、政治体制、経済発展段階などで大きな違いがあり、非常に多様です。多くの国が第二次大戦後に植民地、半植民地状態から独立をかちとり、新しい歩みを始めました。しかし朝鮮戦争やベトナム戦争をはじめ、紛争がたえない状態もありました。

 そこにとどまって分断と対立を固定化するのではなく、国内の紛争や多国間紛争を克服する努力のなかから、平和と協力の共同体をアジアで具体的に展望できるようになったことは、世界の平和と安定への大きな貢献です。

 とくにASEANが果たした役割は重要で、ふたつの首脳会議でも、東アジア共同体の「推進力」だと確認されました。ASEANが締結しアジアに広がった東南アジア友好協力条約(TAC)は、紛争の平和解決、武力不行使と不干渉を原則としており、対話と協力を進める各国の“行動規範”になるものです。

 東アジア首脳会議の宣言は、国連憲章、国際法とともにTACの原則にもとづいて平和、安定、経済的繁栄の東アジアをめざすことにしています。ASEANプラス3首脳会議は二〇〇七年に、協力の進展を踏まえて、東アジア協力と共同体への方向性を共同声明にまとめることにしています。

 日本政府は、ASEAN諸国が独自の動きをすることに警戒感を持つアメリカの意向に沿った動き方をしてきましたが、一昨年、TAC加入方針に転じ、今回、「十六カ国の首脳が合意できたことはすばらしい」(小泉首相)といっています。

■平和憲法もつ国として

 日本は、平和憲法をもつ国として、アジアの平和の枠組みづくりを積極的にすすめていくべきです。ところが、小泉首相は侵略戦争を正当化する靖国神社参拝を強行し、韓国、中国との関係を悪化させてきました。ASEAN各国首脳から懸念が表明されているのに、“参拝して何が悪い”“批判するほうが問題だ”と開き直っています。これはアジアの人々を傷つけ、各国との対話、協力に水をさす態度です。

 日本に求められているのは、首相の靖国参拝の誤りを正し、日本国憲法を守り、その平和原則と重なる国連憲章、TACを生かす努力です。


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