2005年11月24日(木)「しんぶん赤旗」
主張
米軍再編経費
おかしいぞグアム基地の負担
日本政府は、日米同盟再編にかんする「中間報告」(十月)にもとづき、年間六千億円を超える米軍駐留経費の負担継続だけでなく、新たに、在沖縄海兵隊七千人のグアム移転に伴ってグアム基地建設費まで出そうとしています。大野防衛庁長官(当時)は、「相当な財政支出が必要だ。『オー・イエス』と言うようにしたい」と米側に言明しています。
国民生活関連予算の大幅削減と増税で国民を苦しめながら、米軍の海外基地体制強化のための費用まで負担するなどとんでもないことです。
■移転は既定の計画
日本政府は、在沖縄海兵隊の四割にあたる七千人のグアム移転を、負担軽減策であるように描き、移転費用の負担はやむをえないかのように言っています。しかし、これは事実に反しています。
七千人の移転は、グアムを海兵隊の新たな拠点にするため、米軍が早くから計画していたものです。米議会「海外基地見直し委員会」は、国防総省を調査し、「沖縄から第三海兵遠征軍司令部がグアムに移転する可能性」があり、「最大八千人まで削減」されると報告しています。
グアムは、ブッシュ政権が先制攻撃戦略を推進するために新たに再編強化している重要拠点です。空軍はすでに戦略爆撃機と二個戦術飛行中隊を配備。海軍は攻撃型原子力潜水艦などを配備しています。
海兵隊も、沖縄、ハワイ、米本土西海岸に加えて、グアムも海兵隊の新たな出撃基地にする計画です。米海兵隊のヘイギー司令官は、海兵隊をグアムに分散させることで、「インドネシア、マレーシア、バングラデシュ、インド」への対テロ戦争協力のための展開が容易になるといっています(七日)。
グアム基地の再編強化は、沖縄との連携強化を前提にしており、沖縄の負担軽減につながる保障はありません。げんに、「中間報告」でも、米海兵隊の「対応能力」を「ハワイ、グアム及び沖縄の間で再配分」するとしており、辺野古への新基地建設を狙っています。沖縄県民を日々脅かす戦闘機部隊やヘリ部隊、地上戦闘部隊などはいすわり、苦痛はなくなりません。
グアムの海兵隊基地建設は、司令部や家族住宅建設など莫大(ばくだい)な費用を必要とします。米議会「海外基地見直し委員会」は二十九億ドル(約三千三百億円)といっています。ローレス国防副次官は、「一部で伝えられている約三十五億ドル(約四千百億円)とする試算は根拠が乏しく、実際は大幅に上方修正されることを示唆」(「東京」十日付)しています。
沖縄県民にひどい犠牲を強いながら“負担を軽くしたかったらカネを出せ”というのは、あまりにも日本国民をバカにした態度です。
沖縄の新基地建設費負担やグアム基地建設費負担は、アメリカの先制攻撃戦争の実施を資金的に後押しすることにもなります。
海外の米軍基地強化費を出す根拠は日米地位協定にもなく、小泉政権の米軍再編費用の負担は、税金の不当支出です。米軍再編特別措置法をつくって、費用負担に道を開くなど絶対に許されません。
■無条件に撤去する
米軍基地は、米軍が軍事占領のさなかに住民から「銃剣とブルドーザー」で土地を取り上げつくったものです。それが六十年もの間、沖縄県民を苦しめています。基地の無条件撤去こそ、県民の願いであり、日本の平和と国民の安定の保障です。