2005年11月9日(水)「しんぶん赤旗」
“核廃絶が唯一の道”
IAEA エルバラダイ氏講演
【ワシントン=鎌塚由美】国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は七日、ワシントン市内で核不拡散・核軍縮をめぐる問題で講演し、「核兵器のない世界が唯一の選択肢」と述べました。また核保有国の緩慢な核軍縮に触れ、「一触即発の警報を維持する冷戦状態から脱却」するよう求めました。
カーネギー平和財団での核不拡散シンポジウムで述べたもの。今年のノーベル平和賞を授賞した同氏は、五月の核不拡散条約(NPT)再検討会議が合意に至らず、九月の国連首脳会議の成果文書に「核不拡散」「核軍縮」の言葉が盛り込まれなかったことに言及し、「これらの結果に落胆した」と表明しました。
さらに「核不拡散や核軍縮の前進は、宣言やレトリックではなく具体的結果で測られるべきだ」とし、▽核検証の実効性▽核技術の管理▽核物質の保護▽約束の順守―を重視すべきだと述べました。
エルバラダイ氏は市民社会の役割に触れ、「核兵器のない世界が唯一の選択肢であることを、市民社会が明確にすることで、すべての分野で決定的な役割が果たせる」と語りました。