2005年10月26日(水)「しんぶん赤旗」
米国の対中政策
経済関係強まるもと
けん制しつつ関与促進へ
十八―二十日のラムズフェルド国防長官の訪中に続き、十一月にはブッシュ大統領が中国を公式訪問します。中国との経済関係が強まるもとで米国は、中国をけん制しつつ、協力関係を前進させようとしています。最近の政府高官の発言から、米国の対中政策を見てみました。(ワシントン=鎌塚由美)
米国防長官の訪中は、二〇〇一年発足のブッシュ政権のもとで今回が初めて。〇一年四月には、中国海南島付近で米国の偵察機と中国軍機の衝突事故が起こり、両国関係の緊張が高まりました。ラムズフェルド氏は訪中が遅れた理由について十七日、「軍用機事故がなければ、もっと早くに訪問していただろう。世界で他に一連の問題があったので」と述べました。
■両国関係は「良好」
胡錦濤国家主席は十九日の長官との会談で、両国関係は「良好に発展」と発言。両国国防相会談では、「互いに共有する利益のなかで、率直で、協力的で建設的な軍事関係を打ち立てることで合意」(中国の曹剛川・国防部長)しました。
ラムズフェルド長官は、中国の戦略核ミサイルを担う第二砲兵部隊司令部を外国要人として初めて視察しました。
ブッシュ政権のもとで、米中関係は曲折を経てきました。とはいえ軍用機衝突事故以来、米駆逐艦の中国寄港(〇二年)、中国の曹部長の訪米(〇三年)、マイヤーズ米統合参謀本部議長の訪中(〇四年)、中国の梁光烈・総参謀の訪米(〇四年)があり、〇五年一月には米中国防担当実務者の「特別政策対話」が北京で始まっています。
訪中時の一連の行事でラムズフェルド長官は、中国の「早急で、われわれの見方では不透明な軍事力強化、さらに地域機構などからの米国の除外に各国が懸念を表明している」と述べたと報じられています。
十九日の共同記者会見で曹部長は、現在の中国の軍事予算は三百二億米ドルであり、三千万人以上の貧困者を抱える国として「防衛能力構築への巨額の投資は不可能だ」と発言。ラムズフェルド氏は、両軍間の教育交流などで双方の「神秘性を取り除く」ことは可能だと述べました。
同長官は、六月にシンガポールで開かれた民間シンクタンク主催の国防相会合で、「どの国も中国に脅威を与えることはないのだから、なぜ軍事投資を増額し、武器購入を拡大し、強固な配備を行うのか疑わざるをえない」と演説。「9・11以来の米高官の対中関係での公式発言で最も好戦的」(ニューハンプシャー大学のマイケル・クレア教授)との評価も出ていました。
■「冷戦」思考に距離
米外交を取り仕切る国務省のゼーリック副長官は九月二十一日、中国の改革開放フォーラムの理事長で中央党学校元副校長の鄭必堅氏が出席するもと、ニューヨークで対中政策について包括的な演説をしました。
同副長官は、今日の対中政策では「冷戦からの類推」も「十九世紀の欧州での勢力均衡政策」も適用できないとし、中国との「協調関係」を追求すべきだと表明。鄭氏が打ち出した中国の「平和台頭」論を引き合いに出しました。
鄭氏の提唱した「平和台頭」論とは、「中国の平和台頭、中国経済の持続的で急速かつ調和の保たれた健全な発展がアジア太平洋地域にもたらすものは、大きな歴史的好機であり、脅威ではない」というもの。
ゼーリック副長官は、「国際社会は(平和台頭への)行動の証しに期待を寄せる」と言明。米国は「平和と安全保障を脅かさないすべての国と建設的関係を追求する」と表明しました。
その上で同副長官は、北朝鮮問題、大量破壊兵器不拡散、テロとのたたかいでの米国との協力を評価する一方、対スーダン関係や「不透明な急速な軍事近代化」に懸念を表明。中国がアジアで「力の優位の確保」をめざすのでなく、米国も加わる東南アジア諸国連合地域フォーラム(ARF)やアジア太平洋経済協力会議(APEC)で協力するよう求めました。
中国を世界に統合しようとする従来の「統合政策」を変革し、国際システムのなかで「利益を有した当事者」として中国側の積極的な関与を促すのが米国の立場だと強調しました。
東アジア戦略の再検討が進むなか、米国の対中政策をめぐっては米政権内で今年の夏に激論があり、対中「説得」政策の採用に落ち着いたことが報じられています。
▼米中経済関係 米中両国の経済関係は近年、急速に深まっています。米国からみれば、中国は第三位の輸入先で第七位の輸出先。米国の輸出入総額では、カナダ、メキシコ、日本に次ぐ第四位です。中国からみれば、米国は第一位の輸出先、第三位の輸入先です(いずれも二〇〇二年の数字)。

