2005年10月23日(日)「しんぶん赤旗」

中越大震災から1年

がけ崩れに補助拡大

長岡市の宮内さん

「自費では復旧できない」「共産党のおかげです」


 発生から一年を迎えた新潟県中越大震災では、地盤やがけ崩れの被害が大きく、被災者にとって深刻な問題です。がけ崩れでこれまで認められなかった保全対象人家一戸への工事補助が日本共産党の尽力もあってこのほど実現しました。九月の県・市町村議会で可決・予算化されたのです。(新潟県・村上雲雄)

 「自費ではとても復旧できない。あきらめていたが、補助が認められてうれしい。これで安心して生活できる。共産党の皆さんのおかげです」。こう語るのは、長岡市でがけ崩れの被害にあい、自宅全壊になった宮内昭夫さん(62)です。

■声をかけると

 宮内さん宅は、十メートル以上あるがけが地震で崩れて、家のがけ側が一階の屋根下まで土砂で埋まりました。避難勧告が出され、敷地内の離れた場所にコンテナを持ち込み、そこに家族が二カ月間避難生活をしました。

 宮内さんが救援されることになったのは、地震直後、日本共産党の中越大震災全国救援センターのボランティアが、巡回で「何か困っていることはありませんか」と訪ねたことがきっかけ。

 センターから連絡を受けた笠井則雄市議がさっそく現場に出かけ調査。被害の大きさから、笠井市議は市に調査を要請したり、宮内さんといっしょに市に補助や公共工事を要請しました。

 高橋千鶴子衆院議員や木島日出夫元衆院議員も現場を視察したり、笠井市議が議会で取り上げる一方、党市議団や復興支援センターとしても市に要請をしました。

 しかし、国の制度では、保全対象人家が二戸以上あることが適用条件。五十嵐完二県議は、六月県議会で「集落再生のためにも、一戸でも国の事業となるよう求めると同時に、県独自の支援策を早急に」と求めました。

 県は、「市町村の要望に応じて県単小規模急傾斜地崩壊防止事業で対応」と答弁。これをふまえて、市町村に事業要望個所の調査を実施しました。日本共産党の市町村議員も呼応してそれぞれの自治体に要請。こうした中で、県は小規模急傾斜地崩壊防止事業(保全対象人家二戸以上、高さ五メートル以上)の運用を広げ、一戸以上、高さ三メートル以上、斜面こう配三〇度以上に緩和。今年度百六カ所、県助成分二億四千万円を補正予算化、県議会で可決されたものです。

 県の補助は50%。市町村によっては一部を被災者負担にするところもありますが、長岡市の場合は残りを市が補助し、被災者負担はありません。

■道切り開いた

 一周年を前にした二十日、五十嵐県議、笠井市議、宍戸末雄復興センター所長、地元の党員・草間武さんが宮内さんを訪問、予算化を報告しました。

 五十嵐県議は「今年度と来年度で、二百二十カ所以上が対象になります。一戸でも対象となる道を切り開いた意義は大きいと思う」と話します。

■自宅再建メドない4割

■再び豪雪迎え

 仮設住宅の入居数は昨年末からほとんど横ばい状態で、再び冬の豪雪を迎えます。

 中越大震災では、十年前の阪神・淡路大震災の教訓からコミュニティー(集落)を生かした仮設住宅の入居がおこなわれました。ピーク時はざっと三千世帯。いまも、長岡市など九市町村六十二カ所の仮設住宅の入居数は約二千八百世帯にのぼります。

 県がおこなった仮設住宅入居世帯へのアンケートでも回答した約二千百世帯のうち、二割弱の三百世帯余りが「住宅再建の見通しがたっていない」と回答。また二割強の五百世帯が「公営住宅に引っ越す」「親類宅に身を寄せる」と答えるなど、四割に自宅再建のメドがたっていません。その大きな要因が“使えない、使いづらい”国の被災者生活再建支援制度。被災者がもっとも望んでいる住宅本体には適用されず、しかも対象を全壊、大規模半壊世帯に限っています。

 他方、県は年収制限を撤廃した上、住宅修理にも適用。さらに半壊世帯に対象を広げたことなどで支給総額は六十三億円に達しました。国の支給額はその五分の一にも満たない十二億円弱にとどまっています。

■進まない改修

 住宅の地震対策は全国の課題でもあります。

 政府は、住宅倒壊による圧死者が九割を占めた阪神・淡路大震災の教訓から、一九九五年に建築物の耐震改修促進法にもとづく住宅耐震補助制度を創設しました。

 耐震改修が必要な住宅は、全国で約千百五十万戸にものぼります。

 しかし、この十年間をみると、国の制度による住宅の耐震改修実績はじつに貧弱。二〇〇三年度までの共同住宅の実績はたった四十戸、戸建て住宅はゼロです。ことし三月時点では、共同住宅四十戸のままで、戸建て住宅が十四戸に微増しただけです。

 遅々としてすすんでいない耐震改修を促進するとして、政府は建築物の耐震改修促進法の改正案を国会に提出しました。ところが、戸建て住宅への国からの補助率がわずか8%のまま。これでは十年間で六百五十万戸の耐震補強をすすめるという政府の目標も裏付けのない「絵に描いたもち」というのが実態です。

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