2005年10月22日(土)「しんぶん赤旗」
米韓両国
米軍保持の韓国戦時統制権
返還協議開始で合意
米国と韓国の軍事当局間による第三十七回米韓年次安保協議(SCM)が二十一日、ラムズフェルド米国防長官と尹光雄・韓国国防相が出席してソウルで開かれました。協議後に発表された共同声明で両国は、米軍が有している韓国軍の戦時作戦統制権の返還協議の開始に合意。地域の懸案を対話で解決する立場を確認しました。
■“半島の対立 対話で解決”
韓国は朝鮮戦争開始直後の一九五〇年に軍の統制権を米軍に移譲。平時の統制権は九四年に返還されましたが、戦時の統制権は米軍が保持したままです。盧武鉉大統領は統制権の完全返還を「自主国防」政策の要と位置付けています。ただ、戦時統制権の移譲は米韓連合司令部や在韓国連軍司令部(いずれも司令官は在韓米軍司令官)の存廃に直結する問題。共同声明は「協議を適切に加速化する」としています。
北朝鮮の核開発について共同声明は、「米韓同盟と国際社会の重大な憂慮」だとする一方、九月の六カ国協議の共同声明での北朝鮮の核放棄公約を歓迎しました。
また今回の共同声明では、米韓の軍事力で「北朝鮮の脅威を抑止する」といった文言がなくなりました。代わって「南北間の和解・協力の努力を通じて北朝鮮の軍事的脅威が漸進的に減少するとの期待」を盛り込み、対話で北朝鮮の核問題や朝鮮半島の軍事的対立を解決するとの立場を明確にしました。
一方、米国の「韓国に対する防衛公約」と「核の傘」の提供は引き続き明記されました。協議後に記者会見したラムズフェルド長官は「(米軍は)朝鮮半島や周辺の態勢を維持し、核によるどう喝や挑発への抑止力を強化する」と語りました。
また共同声明は「朝鮮半島と北東アジアの平和と安定のため確固たる(米韓)連合防衛力を維持する」としています。ただ、米国が先制攻撃戦略に合わせて在韓米軍基地を出撃拠点化したいのに対し、韓国側は、在韓米軍が朝鮮半島の有事以外の北東アジアでの紛争に出動することに反対しています。