2005年10月19日(水)「しんぶん赤旗」

米の文化独占を拒否

多様性守る条約 採択へ

ユネスコが決議


 【パリ=浅田信幸】パリで開かれている国連教育科学文化機関(ユネスコ)で「文化多様性条約案」を審議していた委員会は十七日、同条約案の総会採択を勧告する決議案を賛成百五十一で可決しました。これにより同決議は二十日の総会で採択されることが確実になりました。

 反対は、ハリウッドを抱える米国とイスラエルだけ(オーストラリアとキリバスが棄権)。米国の孤立が際立ちました。

 条約は、グローバル化(経済の地球規模化)の否定的影響から文化の多様性を守り、民族的伝統や少数言語などの維持を促すことを目的としたもの。米国文化産業が世界を席巻することへの危機感から、フランスやカナダが提唱してきました。

 条約は▽相互に有益な方法で文化的な表現を活性化させる条件をつくりだす▽諸文化間の対話の促進、特に発展途上国での文化と開発の関係の重視▽文化的表現の保護、促進のための政策を採用し、実行する上での国家主権の確認―などをうたっています。

 文化も商品という考えの米国は、条約案が「表現の自由を危険にさらす」とか、各国の独自文化を守るのは「保護主義」だと批判。これに対しドヌデュードバーブル仏文化相は、「文化は他と同じような商品ではない」と述べました。

 委員会討論では、「人類全体にとっての豊かさを示す」(ブルキナファソ)、「グローバル化への解毒剤」(モーリタニア)など、条約案を積極的に支持する発言が続きました。

 条約案は総会で採択後、三十カ国が批准をすませた時点で正式に発効。文化的生産物に関する世界貿易機関(WTO)での論議でも各国は条約順守が義務づけられます。


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