2005年10月18日(火)「しんぶん赤旗」

ダルフール和平 足踏み

続く暴力、政府内対立も

スーダン


地図

 スーダン西部のダルフール地方の和平をめぐってナイジェリアの首都アブジャで行われている政府と反政府勢力の交渉は、現地で暴力事件が続いていることやスーダン政府内の対立、アフリカ連合(AU)との関係悪化などで足踏み状態となっています。

 ダルフールでは、スーダン政府と二つの反政府武装勢力、公正平等運動(JEM)とスーダン解放軍(SLA)の間で二年半にわたり紛争が続き、約十八万人が死亡、二百万人以上が国内外で難民となっています。政府と反政府武装勢力は七月五日に同地方の紛争の解決のための「原則宣言」に調印しましたが、当初八月下旬に予定されていた交渉の再開はようやく九月半ばのこと。しかし、六回目となるこの交渉も一カ月間進展しませんでした。

 この間、反政府武装勢力分派とAU軍部隊との衝突が続き、今月初めにはAU部隊側に六人の死者が出、初めての犠牲者となりました。武装勢力分派のなかにはAU部隊の兵士ら三十八人を人質にとり、アブジャでの交渉参加を要求しているグループもいます。

 これに加えて、スーダン政府は否定していますが、AU側はスーダン政府軍がAU平和維持部隊の展開を妨害していると主張しており、両者の関係も悪化しています。

 スーダンでは南北間で二十数年にわたり続いてきた紛争が終結。ことし九月、南部の元反政府武装勢力スーダン人民解放運動(SPLM)も加わった国民統一政権が成立しました。ただ、SPLMの政府参加は完全な形では実現していません。SPLMは、政府に対し交渉姿勢の転換とともに、政府側代表団にSPLMも加えるよう要求しています。

 西部ダルフール地方の紛争のきっかけは、同国の南北間の和平交渉が進展し、各勢力の政府への参加や石油資源の分配などの交渉が進む中、取り残された同地方の黒人勢力が二〇〇三年初めに政府軍を攻撃したことでした。これに対し政府側が、ジャンジャウィードと称するアラブ系民兵組織を使って黒人系住民の村などを襲撃し、紛争が拡大していました。(夏目雅至)


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