2005年10月16日(日)「しんぶん赤旗」

ここが知りたい特集

小泉内閣の大負担増計画

これが国民大負担増計画

選挙での争点隠し一転

小泉内閣が具体化へ


 サラリーマン増税や消費税増税…。小泉流「改革」の突破口と位置付けていた郵政民営化法案を成立させた小泉内閣は、本格的な大増税スケジュールの具体化に走り出しました。社会保障の連続改悪と合わせれば、かつてない大負担増が国民を襲います。(山田英明)

■“消費税等々も考える”

 自民、公明両党の議席が議場の三分の二以上を占めることになった総選挙(九月十一日投票)。直後から谷垣禎一財務相は、サラリーマン減税のひとつ、所得税・住民税の定率減税について「整理する必要がある」(同十三日)、「昨年半分廃止したわけだが、そういった流れは変わっていない」(二十日)と発言。この秋本格化する税制「改正」議論で、定率減税を全廃する意向をくりかえし表明しました。選挙中の「『サラリーマン増税』を行うとの政府税調の考え方はとらない」(自民党のマニフェスト)との公約はなかったかのような対応です。谷垣財務相は「二〇〇七年度(税制『改正』の議論)の中で、消費税等々も考えていく」(同十三日)と消費税率引き上げを具体化する時期も明言しています。

■自営業者・高齢者にも

 小泉首相は「(所得税の)控除の見直しも当然やる」(九月一日)といっています。

 所得税の税額を軽減している各種控除(給与所得控除や配偶者控除など)の縮小・廃止は、サラリーマンをはじめ、自営業者や高齢者にも増税をもたらします。とくに高齢者にとって、所得税・住民税増税は、国民健康保険料や介護保険料の値上げにも連動します。

 小泉内閣はすでに、医療改悪や年金改悪、介護保険改悪などを決め、保険料引き上げや給付削減などの負担増を国民に押し付けてきました。

 例えば、小泉内閣が、年収五百万円のサラリーマン四人家族に押しつけた(計画されているものも含む)負担増は、所得税・住民税の配偶者控除の廃止や厚生年金保険料の引き上げなど、約十二万七千円。今後、サラリーマン増税や消費税増税(税率10%への引き上げ)などによって、約五十五万円の負担増になる計算です。

 同様に、事業所得が三百九十万円の自営業者三人家族では、これまで約二十三万円の負担増(計画含む)が押しつけられました。所得税・住民税増税と消費税増税によって、約四十万円の負担増になります。

 また、夫婦の年収が二百四十万円の高齢者夫婦世帯の場合では、これまでの負担増(計画含む)は約十万円。所得税・住民増税と消費税増税の実施によって、さらに約十万円の負担増になります。

 小泉内閣はさらに、高齢者の医療費自己負担の引き上げや、障害者の福祉・医療サービスに応益負担を導入することなどを狙っています。

■大型公共事業・軍事費は聖域 法人税収はバブル期の半分

■税金の使い方・集め方が問題

 社会保障や財政再建を考えるとき、庶民負担しか思いつかない小泉内閣。しかし、予算の使い方や税金の集め方をかえれば、庶民への大負担増に頼る必要はありません。

 〇六年度予算編成議論では、関西空港の二期工事に約二百億円の予算が要求され、軍事費も五兆円規模と、引き続き聖域扱いにされています。

 また、法人税を下げすぎたため大企業が空前の大もうけをしても法人税収(国税)はバブル期の半分の十兆円ほどしかありません。

 大型公共事業や軍事費などのムダを徹底的に改め、大もうけしている大企業や高額所得者にもうけに応じた負担を求めれば、社会保障を充実させながら、財政再建の道を切り開いていくことができます。

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