2005年10月14日(金)「しんぶん赤旗」

「これでは終われない」

何でもお金 不安です

「自立支援」法案 傍聴者は…


 「応益負担は障害者の自立を阻害する」―。十三日、参院厚生労働委員会で、障害者の生活に最低限必要なサービスにまで定率の負担をしいる障害者「自立支援」法案が可決された瞬間、傍聴していた障害者や家族、関係者からは怒りの声とともに、ため息ともいえない声が漏れました。埼玉県内の通所施設の施設長は「これで終わりにしてはいけない」と語りました。(藤川良太)


 採決時、傍聴席は十五人を超える衛視に取り囲まれました。日本共産党を含む野党の反対討論、与党の賛成討論の間、議場は静まり返りました。岸宏一委員長(自民党)の「それでは賛成の方の挙手をお願いします」の声。手話で議論を見守っていた杉山日出夫さん(57)の目線の先には、手をあげる与党議員の姿が。「予想はしていたけど、寂しい感じがする。何をするにもお金を取られるのか…。不安です」

 同日、障害者や家族、その関係者は審議が始まる午前十時前から行動開始。参院議員会館前では集会を開き、議員会館では各党への要請行動、委員会では傍聴と、国会は障害者らであふれかえりました。求めたのは「障害者の実態を十分調査した上での慎重審議」でした。

 「きょうされん」(旧共同作業所全国連絡会)は、前日に続いて全国から集まった八十人が議員要請などを行いました。

 大阪・東大阪市にある障害者生活支援センター「ひびき」の高井博之センター長(49)は「障害者の生活実態をきちんと調べてほしい。ホームヘルプを利用しているが、体力が落ちてきてもこのままでは、今後、利用を減らさないといけなくなる」。三十歳までは松葉づえで歩いていましたが、現在は車いすを利用。少しずつ落ちる体力と利用料の応益負担導入に不安を語りました。

 障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会も四十人が傍聴しました。参院議員会館前では「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動」実行委員会主催の集会も行われ、五百人が参加。百台を超える車いすが並びました。参加者は「応益負担は自立を阻害する」などと訴えました。全国腎臓病協議会も衆院の厚労委員の議員に、人工透析患者の入院や通院費の負担が増える問題で、更生医療や育成医療は現行を維持するよう要請しました。


■参院議員会館前 障害者らが抗議

 障害者「自立支援」法案採決後、この日の採決に反対してきた障害者らによる抗議集会が参院議員会館前で行われました。

 日本共産党の小池晃議員は、「カネのない人は排除されていいのか」と批判。「衆院でも廃案へ追い込むため力をあわせてたたかいたい」と述べました。

 紙智子、小林みえこ、仁比聡平の各参院議員、高橋千鶴子衆院議員もあいさつ。井上哲士参院議員もかけつけました。民主党議員や社民党の福島瑞穂党首も発言しました。

 障全協の市橋博副会長は、「付帯決議が二十三項目にものぼるのは、法案そのものが不十分な証し」とのべ、いっそうの団結を呼びかけました。


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