2005年10月13日(木)「しんぶん赤旗」

反テロ口実の言論抑圧

ブレア首相新提案に批判


 【ロンドン=岡崎衆史】英下院内務特別委員会のデンハム委員長(労働党)は十一日、ブレア政権が制定を狙う新しい反テロ法について、同法が取り締まりの対象にする体制転覆を理由にしたテロとフセイン政権転覆を理由にしたイラク戦争に本質的な違いはないとの見方を示し、テロ取り締まりを叫びながら他方で戦争をする政府の姿勢を暗に批判しました。

 同委員長の発言は新反テロ法案についての内務特別委員会の公聴会で、同法の必要性を訴えたクラーク内相の説明に反論したものです。

 公聴会では、法案がテロを称賛することも取り締まりの対象にしていることについて、出席者から言論抑圧ではないかとの懸念が続出しました。

 南アフリカでアパルトヘイト(人種隔離)が支配的だったさい、これとたたかい、一九八〇年代には武装闘争もしたアフリカ民族会議(ANC)を支持するのは犯罪かと聞かれ、クラーク内相は、民主主義の普及が進んだ結果、「変革のための暴力を正当化する世界の状況は考えられない」と発言。これに対して、デンハム委員長は、「二年前、この国(英国)は政治的な変革をもたらすためにイラクを侵略した」「おそらく、これは、すべての戦争を終わらせる戦争であったのだろう。なぜならば、暴力の使用を正当化できる状況はもはやないからだ」と、皮肉たっぷりに批判しました。

 クラーク内相は、「(イラク戦争は)テロではない」と反論しましたが、体制打倒を理由にしたイラク戦争と、政府転覆を理由にしたテロの、暴力を伴う両者の違いを法的に説明することはできませんでした。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp