2005年10月4日(火)「しんぶん赤旗」

主張

永田町の「既得権」

税金横取りを当然視する退廃


 「政府の予算や補助金をもらい、…守られてきた人々の既得権をはく奪し、官のムダをなくす」。自民党の武部幹事長は衆院の代表質問(九月二十八日)で、こう言いました。

 しかし、自民党自身、政党助成金という名の「政府の補助金」で「守られて」います。政党助成金は、国民に政党への献金を強制する憲法違反の制度です。憲法に違反する税金横取りを「既得権」としながら、「官のムダ」をなくすなどというのは欺まんです。

 日本共産党は、政党助成金制度に反対し、いっさい受け取らず、廃止を訴えています。

■買収の資金にまで

 政党助成金が、いかに政党を腐敗・堕落させるかという実例が、二〇〇三年十一月の総選挙であらわれました。埼玉8区で当選した自民党の新井正則衆院議員(〇三年十二月逮捕、〇四年一月議員辞職、同六月有罪判決)が、政党助成金を使って買収をしていたのです。自民党埼玉8区支部に振り込まれた政党助成金一千万円のうち五百万円を買収資金とし、選対本部長だった元所沢市議を通じ、後援会地区長や所沢市議ら二十七人に計二百九十万円をわたしていました。国民が納めた税金を横取りして、票を買っていたのですから悪質です。

 これは、個人の問題として済まされる問題ではありません。政党助成金をどう使うかは政党の「自由」とされており、国は「交付に当たっては、条件を付し、又はその使途について制限してはならない」(政党助成法第四条)となっています。“何に使っても構わない金”だと思っているから、買収のような犯罪にまで使うようになるのです。

 にもかかわらず、小泉首相や自民党などは、政党助成金を「民主主義のコスト」だと正当化しています。政党は議会制民主政治の発展に重要な役割を果たすのだから、国民は「コスト」を負担せよ、というのです。党利党略で国民を踏みつけにする考えです。

 政党は、国民の意思を代表し、要求を政策化し、それを実現するために活動します。そして、国会で多数を占めた政党が内閣を組織することになっています。政治を左右する重要な存在であるからこそ、主権者である国民の自由と権利を守る立場を貫かなければなりません。

 政党への寄付は、国民の政治参加の一形態です。もちろん、寄付するか、しないかは、国民の自由です。国家権力による寄付強制である政党助成金制度は、国民の自由と権利を侵害しています。

 主権者である国民の思想・信条の自由を侵害する仕組みをつくり、年間三百十七億円、制度発足以来十年間で三千百二十六億円もの税金を国民に負担させるなど、言語道断です。

■国民の信頼を崩す

 政党助成金が、政党政治の土台を腐らせていることにも、目を向けなければなりません。

 〇四年の政治資金収支報告で、各党本部の収入に占める政党助成金の割合は、自民党58・8%、民主党83・6%、公明党18・4%、社民党52%。収入の半分以上を税金に頼るのでは、官営政党です。国民の税金を横取りすることに何の痛みも感じないという点にも、あしき官僚的体質と、政党としての退廃が表れています。

 政党助成金制度は、政党の“目先の利益”にはなっても、政党政治そのものへの国民の信頼を崩し、民主主義の健全な発展を阻害します。一刻も早く、廃止させましょう。


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